住宅ローン「固定と変動どちらを選ぶべき」論争にプロが断言。損しない方法と賢く借りるコツ
「ダラダラ賃貸」は絶対にNG、社宅も要注意
さて、ここからは住宅購入の初心者が知っておくべき鉄則についてお話ししていきます。 最も避けるべきは、「ダラダラ賃貸に住み続けること」です。将来的には家を買いたいと思っていても、つい先延ばしにしてしまいがち。しかし、生涯の収入を考えてみてください。20歳から60歳までの40年間で稼ぐ収入は、だいたい2億円や3億円です。この中から、住宅費、生活費、子どもの教育費、そして老後の備え。主にその4つにお金を使わなければなりません。 例えば、生涯の収入が3億円だとして、それを均等に4分配すると、住宅費は7500万円になります。この7500万円を使って、家賃や住宅ローンを支払うのです。つまり、賃貸の期間が長ければ長いほど、家を買うための“財布”は減っていくことになります。 総合的に考えて、35歳までには購入した方がいいですね。返済も早く終わるので、精神的にも楽になります。 もちろん、40歳や50歳で家を買うこともできます。しかし、家計に無理のない範囲で購入するとなると予算が限られてしまいます。家の予算を上げると、家賃+住宅ローンの居住費の総額が膨れ上がってしまい、生活費、教育費、老後の備えのどれかを削らなくてはなりません。これが「ダラダラ賃貸」で後回しにすることの大きな問題であり、老後が苦しくなる理由です。 特に社宅に住んでいる方は、要注意です。社宅は安いため、社宅に住むことで家賃が毎月5万円や10万円浮くかもしれませんが、5年間で得する金額はせいぜい約600万円でしょう。一方で5年前には7000万円で売っていた家が、今では1億円以上になっています。インフレ下では賃貸に住み続けるのは、じつは大きな問題なのです。 つまり、賃貸で決断を先送りするということは「不動産を買わないリスク」なのです。「不動産を買うリスクを、取らないリスク」とも言えます。
全国で約800もある金融機関の住宅ローンは何を見るべき?
住宅を買う際にはまず、“いくらの物件を買うか?”という予算を考える必要があります。予算の目安は、収入の7倍までです。例えば年収500万円なら、3500万円ですね。家計に余裕を持たせたいのであれば、収入の5倍までを目安に考えるといいでしょう。今後の金利上昇が心配な方は5倍までをオススメします。 次に、住宅ローンの選び方に気をつけましょう。無頓着な人は給料の振り込みで使っているメインバンクから住宅ローンを借りたり、友人や不動産業者の勧めで決め打ちをしてしまいがちですが、絶対にやってはいけません。当たり前のことなんですが、ちゃんと自分で比較して選んだほうがいいんです。 とはいえ、銀行だけではなく、信用金庫やJAなども含めて全国には約800の金融機関が存在し、ほぼ全てが住宅ローンの商品を提供しています。しっかりと比較する必要があるのです。何を基準で選ぶべきかというと、住宅ローンの鉄則の一つ目は「金利」です。 「金利」とは、借りるための費用です。銀行はタダでお金を貸してくれるわけではありませんから。金額が大きい住宅ローンでは、数パーセントの差で大きく変わってきます。金利が低い銀行を選びましょう。 金利には「変動金利」か「固定金利」から選ぶことになり、現在の変動金利はおおよそ0.4%前後です。固定金利には代表的な商品として「フラット35」というものがあり、おおよそ1.8%程度です。変動金利が0.4%、固定金利は1.8%から低ければ低いほど、優れていると言えます。