「ガンプラの転売」が再び活発に! 正規ルートで「買えない」状況が続くのはなぜ?
劇場版『ガンダムSEED』のヒットが転売の契機に?
また、劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の大ヒットが、皮肉にも転売屋を活性化させる契機となってしまったと思われます。 日本でも「ガンダムSEED」シリーズは人気がありますが、中国では「ガンダム」シリーズの原点に近い扱いを受けるほど高い人気を誇ります。2021年には上海市ららぽーと上海金橋前に実物大の「フリーダムガンダム立像」が設置され話題となりました。立像のオ-プニングセレモニーの際に「ガンダムSEED」の新プロジェクト「GUNDAM SEED PROJECT ignited」が発表されたことからも、バンダイが中国市場を極めて重視していることがうかがえます。 とはいえ実のところ、ある理由から『SEED FREEDOM』はいまだ中国での上映には至っていません。それでも約20年ぶりとなる待望の新作登場により、中国の「ガンダムSEED」ファンが大歓喜したことは間違いないでしょう。 バンダイも転売に対し無策ではなく、先述のセミナー参加者は潤沢に用意された「マイティーストライクフリーダムガンダム」を大量に買い込み、不良在庫を抱え込みました。それでも中国需要は旺盛で、多くのガンプラが海を渡った模様です。 誰にも雇われない特別な生き方として、「転売屋」を選択する。そのような言葉が今もSNSや動画サイトで飛び交っていますが、ここまで転売がまん延した以上、特別な生き方でもなんでもありません。むしろ、いつ転売対策に引っかかって損失を抱え込むのかを恐れなければいけない立場です。 ガンプラの転売セミナーにしてもそうですが、すでに転売屋は「ノウハウを売る情報商材」のターゲットであり、上手に生きているつもりで、他人の餌食になる段階に突入しています。他人の労力をかすめ取るつもりが、自分の懐からお金が消し飛んだ……。転売屋は、そのような状況に陥る可能性がある存在なのです。
早川清一朗