20年に一度の「式年遷宮」ってどんな儀式なの?/パワースポットブームで人気の伊勢神宮
20年に一度の「式年遷宮」の年を迎えた伊勢神宮(三重県伊勢市)で10月2日と5日に、神を新しい社殿にうつす神事である「遷御(せんぎょ)の儀」が行われ、クライマックスを迎えます。伊勢神宮は最近の「パワースポット」ブームもあり、女性や若い人にも人気が過熱。前回の遷宮時(1993年)の年間838万人を大幅に超え、今回は年間1000万人超も見える勢いで、年末年始に向けさらに注目を集めそうです。
8年がかりで準備 さまざまな儀式
伊勢神宮とは、皇室のご祖神とされる天照大神(あまてらすおおみかみ)を祀る「内宮」と、衣食住の守り神である豊受大神(とようけのおおみかみ)を祀る「外宮」を中心にした125社の総称を指します。20年ごとに「内宮」と「外宮」二つの正宮の正殿などの社殿や、ほか14の別宮の社殿を、隣接する敷地にそっくり造り替えており、これを「式年遷宮」といいます。また、神の御装束(おんしょうぞく)や神宝(しんぽう)も造り替え、新しい社殿にうつします。 遷宮には樹齢200~300年のヒノキ材が主に使われ、8年がかりで準備します。2005年には御用材を古作法で伐り出す御杣始祭(みそまはじめさい)などが行われました。その後内宮の入り口にかかる「宇治橋」の架け替えを行う「渡始式」、新宮の敷地に敷く白石を奉献する「お白石持行事」など数々の行事が続き、新しい社殿に神をうつす遷御の儀を迎えます。予算は約550億円。10月2日には内宮で、5日には外宮でそれぞれ「遷御の儀」が行われますが、関係者しか参列できません。 記録によると、式年遷宮は飛鳥時代の天武天皇が定め、690年(持統4年)に第1回が行われたとされます。以後中断や延期されたことはありましたが、1300年以上にわたって続き、今回が62回目の遷宮です。神道の精神では「老朽化」はけがれにつながるとされ、新宮にうつすことで「神のみずみずしい力のよみがえりを祈る」という意味がこめられているといわれます。また、20年間隔で行えば、建て替えの大工技術などの伝承がしやすいという側面もあるようです。