航空整備士の業務範囲拡大へ、なり手不足に対策…国家資格共通化や教育時間短縮
国際航空運送協会(IATA)は、日本の航空需要が2040年に19年比で1・5倍に増えると見込む。一方で、足元では事故や重大インシデント、安全上のトラブルが続く。地方空港でも航空燃料の供給不足が表面化し、国際線の新規就航や増便の断念が相次いだ。
こうした現状を踏まえると、安全運航の基幹となる航空整備士について、不足による問題が顕在化する前に対策を打つ意義は大きい。同様の課題を抱える欧州などに比べても、業務範囲拡大の規模などの点で一歩も二歩も進んだ内容だ。
ただ、資格の共通化を含め、航空会社内での教育・習熟が重要になる。昨秋には航空大手で複数の不適切整備が判明した。国交省の監督責任もいっそう重くなる。(社会部 森田啓文)
◆航空整備士=航空法で定められた国家資格。運航間の保守や軽微な修理を担う「航空運航整備士」(養成期間約2~3年)と、それに加えてドックでの小・大修理もできる「航空整備士」(同5年)などがある。大型機を扱う「1等」資格は型式(ボーイング787型など)ごとに取得する必要がある。