坂口健太郎のアジア圏まで広がる認知・人気 2024年は配信映画・ドラマで縦横無尽な活躍ぶり
「さよならのつづき」は脚本開発段階から参加、難役にも挑んだ
なお、「愛のあとにくるもの」では、韓国作品ならではの愛情表現に驚いたという坂口。「愛している」とはっきり口に出す人物像と向き合いながら、どうなじませていくかを考えたそうだ。そして「さよならのつづき」では製作発表時に「自分の中にもう一つの心がある、なんて難しい物語だろうと思いました」とコメントを寄せた坂口。彼が同作で演じた成瀬は、心臓を提供した雄介(生田斗真)の特徴を宿していく。 例えば苦手だったコーヒーが飲めるようになったり、ピアノが弾けるようになったりといったふうに。自身が別の誰かになっていくような違和感を覚えるなか、偶然出会った雄介の婚約者・さえ子(有村架純)にひかれていくのだが、成瀬には愛する妻・ミキ(中村ゆり)がおり、自身の本心の所在が分からなくなっていく――という複雑な人間模様が展開。 その状態を芝居で表現すること自体難易度が高く、撮影を終えたいまでも「絶対的な正解は自分の中にはない」と語っていた。俳優・坂口健太郎の新境地といえる作品になりそうだ。 ちなみに坂口への当て書きだった「サイド バイ サイド」や有村架純と共演した「さよならのつづき」では、脚本開発段階から参加したという。近年、俳優のプロデュース/監督作品を含めた新たな動きが活発だが、そうした側面からみても坂口のフレキシブルな動き方はニュースタンダードの系譜にあるといえるかもしれない。 作品的にも役柄的にも新章に突入した感のある坂口が今後、何を選ぶのか――日本映画界/俳優界のトレンドの一翼を担う彼の動向に熱視線を注いでいる方は、少なくないはずだ。
映画ライター SYO