公明党60年、「中道」回帰を模索…自民との違い前面に
公明党は17日、1964年の結党から60年を迎える。先の衆院選では、連立を組む自民党の「政治とカネ」の問題のあおりを受けて大きく議席を減らし、党再生が喫緊の課題だ。中道路線の原点回帰を模索し、自民との差異化を図ることに腐心している。
公明の斉藤代表は16日、代表就任後初めて地元・広島市入りして記者会見を開き、結党60年について「還暦には新しく出発するという意味がある。党再生の仕事を全力でやっていきたい」と力を込めた。
衆院選で公明は、公示前の32から24に議席を減らした。支持母体である創価学会の集票力は低下し、比例選の得票は前回選から約115万票少ない596万票にとどまった。代表に就任したばかりだった石井啓一氏が落選し、9日に斉藤氏の緊急登板が決まった。
党綱領では「大衆とともに」とうたい、保守でも革新でもない「中道」の旗を掲げており、斉藤氏は「公明らしさ」の発揮にこだわる。16日の記者会見では「石破首相と、バチバチ火花が飛ぶような意見交換をさせていただきたい」と決意を示し、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザーバー参加を首相に申し入れることも明らかにした。
公明は「クリーンさ」も売りとしており、15日には自民に先立ち、政治資金規正法再改正などに向けた要綱をまとめた。斉藤氏は記者会見で、外国人への政治資金パーティー券の販売禁止についても「賛成だ」と踏み込んだ。
「平和の党」として、安倍内閣時代には安全保障政策での「ブレーキ役」をアピールしてきた。少数与党に陥り、国民民主党への注目が集まる中、埋没への危機感は強い。公明党幹部は「当面は国民民主の勢いを借りて、これまでやりたくてもできなかった政策を積極的に実現したい」と語った。