VRChatで『楽園追放』新作発表、AI生成される坂本龍馬、格ゲーVTuberなど珍しい動きが続々
■『楽園追放』の新作も発表 東映アニメーションが『VRChat』でアニメフェスを開催 【画像】生成AIで“再現”された超リアルな坂本龍馬 東映アニメーションの最新作が、『VRChat』で発表される時代になった。発表がおこなわれたのは、1月27日に開催されたVRイベント『Virtual Anime Fes』内でのことだ。新作アニメやMRゲームの発表、『正解するカド』の朗読劇、そして本イベント発の期間限定ユニット「サテライト」によるライブなど、様々な企画が実施されるイベントとなった。 筆者も一部『VRChat』の現地会場で体験したが、いわゆるアニメフェスイベントを、世界各地からどこでも、VRの没入感による“現地感”とともに体験できるのはなかなかによい。 『正解するカド』の朗読劇では、キャラクターの3Dモデルが動く舞台を観るというフォーマットを採用しており、単なる朗読劇以上の情報量を宿していた。真道幸路朗 役の三浦祥朗が、真道幸路朗のアバターで登場し、来場者と触れ合う場面もあった。 そして、SFアニメ『楽園追放』の続編『楽園追放 心のレゾナンス』もこの場で発表された。制作陣がアバターをまとって登場し、『楽園追放』の舞台裏を語りながら新作についてトークを繰り広げる光景は、電子世界が舞台のひとつとなった『楽園追放』らしい光景だったように思う。かれこれ2年ほど続く、東映アニメーションのメタバース事業『ONN’ON STUDIOS』の集大成と言えるだろう。なにより、当時『楽園追放』にかなり感銘を受けた身としては、10年ぶりの新作は素直にうれしい。 ■サンリオキャラとVRパフォーマーが共演 『SANRIO Virtual Festival 2024』は前哨戦が始まる 2月半ばにスタートするサンリオのメタバースイベント『SANRIO Virtual Festival 2024 in Sanrio Puroland』は、今月より“前哨戦”が始まっている。事前スペシャルイベント「『カソウ』舞踏団 with サンリオキャラクターズ」だ。シナモロールやポムポムプリンなどのサンリオキャラクターたちが出演する音楽ライブである。 この舞台でサンリオキャラクターと共演する『カソウ』舞踏団は、『VRChat』を中心に活躍するパフォーマーチーム。モーションアクター、ダンス、剣扇舞、演劇など、様々な身体表現を行う、アバターパフォーマンス領域をリードするチームのひとつだ。今回は、サンリオキャラクターの魅力を引き出すダンサー、ミュージカルキャストとしての出演となる。 全4回開催のうち、筆者は1月27日開催の第2回を観覧した。もともと『カソウ』舞踏団のステージを数多く見てきたが、多様な活動を通して培われた表現力はこの場でも健在。ライブ会場全域に及ぶエフェクト演出と合わせ、かっこいい、かわいい、ポップ、と様々な打ち出し方でステージを彩っていた。 サンリオキャラクター側も『カソウ』舞踏団メンバーの名前を直接呼ぶなど、サンリオ側のリスペクトがこれまで同様に強く感じられる。サンリオのかわいらしさと、VR世界で育った身体表現を同時に味わえる機会なので、環境が整っている方はぜひ観覧してほしい。 ■格ゲーやプロチーム発VTuberが登場 ゲーム×VTuber領域が活発な一週間 先週のVTuber業界は比較的おだやかだった印象だ。強いて言えば、多くのVTuberの間で『パルワールド』が流行している。賛否両論を呼ぶタイトルだが、かわいらしいモンスターたちと、無制限のプレイ時間を要求するクラフトサバイバルというジャンルが、ストリーマーの題材にはよくマッチしている。マルチプレイを軸に、大規模なストリーマー・VTuber向け企画が立ち上がるかもしれない。 ゲームストリーマーの方面で言えば、KADOKAWA Game Linkageによるゲーム系VTuberグループ『りーさるぷらん』の初期メンバー3名が発表された。「格闘ゲームを全力で楽しみ、その魅力を伝える」をコンセプトに掲げ、昨年9月にオーディションを実施していたプロジェクトで、初配信は1月28日を予定している。なにより、KADOKAWA系列が関与するVTuberグループということで、どんな展開となるか気になるところだ。 また、プロeスポーツチーム『REJECT』からは、新人VTuber「巫神こん」のデビューが発表されたほか、VTuberの「dtto.(でぃっと)」が加入すると発表された。新人のデビューはもちろん、プロゲーミングチーム『SCARZ』にてデビュー(2023年9月に契約満了)し、その腕前からゲームストリーマー方面で名が知られるdtto.の加入はなかなかにインパクトが大きい。プロゲーマー・ゲームストリーマーとVTuberの交わりは、昨年も大きな盛り上がりを見せただけに、今年も期待がかかる。 ■生成AIで坂本龍馬を“再現”するTVCM 乳酸菌飲料の『ヤクルト1000』は、興味深いCMの放映を始めた。土佐生まれの偉人・坂本龍馬が出演する、一見すると何の変哲もないCMなのだが、これには生成AIがフル活用されている。「3DCGで生成した坂本龍馬の顔」と、「生成AIで作った坂本龍馬の声」が活用されている、挑戦的な映像コンテンツなのだ。 「挑戦するもの」というコンセプトのもと、デジタルヒューマンや音声AIなど様々な技術を投入して生み出された坂本龍馬は、まるで実在しているかのようにリアルだ。花形ともいえる「バーチャルな存在を生み出す技術」が、TVCMへ積極的かつ丁寧に採用された事例と言えるだろう。課題こそあれど、技術の可能性を示す一例として、この連載に記しておきたい。
浅田カズラ