「『やってほしいから、俺が休むよ』と夫が…」2023年に最も活躍した女優、安藤サクラが語る、“いま”とこれから
トライアンドエラーを繰り返しながら広がる、人間としての可能性
「具体的な進化のために積極的にやってみたいことのひとつが、運動です。40歳手前になったいま、身体的な能力と知識のバランスがいちばんいい状態にあると感じているので、成長が早い気がするんです。身体能力は高いのに運動神経はよくないから、『ヘイ、パス!』と言われてすぐにキャッチできる、みたいなことに憧れはあります(笑)。でも私は四角いプールよりも海の方がずっと泳げるし、グラウンドで何かするのは苦手でも木登りだったらできるタイプ。生きていくうえで自分で制限することがたくさんあるのはもったいないことだと考えているので、本気で運動してみたら3mくらいはジャンプできるようになるんじゃないかなと、ワクワクしています」 たとえば『BAD LANDS バッド・ランズ』における鴨居を使った動きにも、心と身体を存分に、自由自在に使う彼女の独自性が見てとれる。これからチャレンジしたいという身体の感覚をより研ぎ澄ませていくための実験のような過程は、表現にも大きな影響を与えるのではないだろうか。 「きっとそうだと思います。生きているうちにこの身体を使ってできることは何かを試して、トライアンドエラーを繰り返しながら、人間としての可能性をもっと広げていきたい。それは科学であり、人間学でもあり、哲学でもあるかもしれないですよね。女優としても自分の肉体を生かしながら、変化していくことを恐れずに。まだ出合ったことのない表現をしてみたいですね」
写真:岡本充男 文:細谷美香 スタイリング:坂上真一 メイク:中山友恵 ヘア:AMANO イラスト:アベミズキ