下瀬美術館のベルサイユ賞に 「大竹市の誇り」「魅力を世界に発信」 地元広島で祝福の声
国連教育科学文化機関(ユネスコ)など創設のベルサイユ賞で「世界で最も美しい美術館」に輝いた広島県大竹市晴海の下瀬美術館では3日、来館者たちから祝福の声が上がった。市や地元の観光関係者は、インバウンド(訪日客)をはじめ誘客への期待を膨らませた。 【写真】ガラス張りの展示室や瀬戸内海、沿岸の工場群を見渡せる下瀬美術館の望洋テラス 審査では、瀬戸内海の多島美に着想を得た設計などが高い評価を受けた。水盤に浮かぶガラス張りの展示室や瀬戸内海を見渡せる「望洋テラス」は人気のスポット。福山市から訪れた四元みのりさん(56)は受賞を喜び「建物と展示作品に加え、ここからの景色もアート」と興奮ぎみ。 館内では、欧州最古の磁器製作所とされるドイツのマイセン窯にスポットを当てた企画展「マイセン磁器―恋する表情」が開催中。尾道市から訪れた三島美保子さん(56)は「美術館にはまた来たい」と声を弾ませ、「大竹の他の見どころももっと知りたい」と語った。 2023年3月の開館から24年11月末までの来館者は約14万5千人。台湾や韓国を中心に訪日客も徐々に増えているという。前砂志郎支配人は「作品解説やフロアマップの多言語化を検討し、受け入れ態勢を充実させたい」と力を込めた。 地域のアピール効果を期待する声も広がった。同市の入山欣郎市長は「建物の芸術性や文化的価値を世界が認めた証しで市の誇り」とコメント。大竹観光協会の木谷義徳会長は「工場夜景見学や三倉岳の散策を楽しんでもらえるよう工夫したい」と意欲をみせた。 湯崎英彦知事は記者会見で「広島の魅力を世界に発信していく大きな力となることを祈念している」と語った。
中国新聞社