鬼滅やNARUTO、コスプレ楽しむロシア若者 1千人の熱気
「鬼滅の刃」や「ONE PIECE」に「進撃の巨人」――。ロシアでは多くの若者たちが、これらのアニメや漫画のコスプレを楽しんでいる。ウクライナ侵攻をめぐり日本や米欧と激しく対立するロシア。なぜ「非友好国」のコスプレが人気を維持できるのだろうか。 【写真】「僕らは日本車が好き。政治は関係ない」 ロシア極東に名車が集結 ロシア極東のウラジオストクで昨年12月2日に開かれたコスプレフェスティバルの会場には、日本のアニメや米ハリウッド映画などの華やかなキャラクターに扮した若者ら約1千人の熱気があふれていた。 日本の人気アニメ「NARUTO」(ナルト)のコスプレをした息子(7)と参加したアンゲリーナさん(33)は子どものころ、「美少女戦士セーラームーン」を見て、日本のアニメに夢中になった。 ■「日本や米欧との架け橋を残す」 大学で日本語を専攻し、通訳として活躍。ウラジオでコスプレイベントが始まったばかりの2010年ごろに初めて参加したという。息子が赤ちゃんの時には一緒にコスプレに挑戦。「最年少の参加者なんです」と笑った。 ただ、ロシアのウクライナ侵攻後、米欧と足並みをそろえて、日本は対ロ制裁を発動。ロシアも日本を「非友好国」に指定するなど関係は悪化している。 その影響について尋ねると、「日本が大好きだから、本当に悲しい。でも、ずっと日本が好きだ」と話した。 例年5月と12月にあるこのフェスは極東では最大のコスプレイベントで、極東の様々な都市から最大2千人が訪れる。 サハリンから参加した双子姉妹のアリサさんとオレシャさん(22)は、アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」のミュージシャンに扮した。「日本人はロシア人のコスプレは(キャラクターにそっくりで)最高だと思っているんだ。いまは難しいけど、いつかは日本に行きたい」と笑顔を見せた。 主催者のアントン・ネドセコフさん(38)は「文化は人々を結びつけてきた。(米欧や日本と)10~20年後には和解に取り組む必要がある。いまは『架け橋』を残すべきだ」と話した。
朝日新聞社