「産業革命発祥の地」岡谷の学びを発信 慶応大ゼミが15日研究成果オンライン報告 長野県
「産業革命の発祥の地」としての長野県岡谷市を学び発信しようと、慶応義塾大学経済学部のゼミ「藤田康範研究会」の大学生が、「シルク岡谷カードゲーム」(仮称)の第3弾を開発している。製糸業の歴史に関する聞き取り調査の収集、分析、PRの方法として進める研究の一環で、岡谷蚕糸博物館(同市)は「遊びながら学べ、若い人に伝えるのに有効」と評価。15日には研究成果の報告と、髙林千幸館長の講演会を行う。オンラインで誰でも視聴できる。 藤田康範研究会はカードゲームの商品化を目指し、3種類の開発に着手。第1弾はシルクの製造工程、2弾は歴史、3弾は工女の福利厚生と暮らしなどを題材にした。2023年から市内のシルクフェアなどで実証実験を重ねている。今回の3弾は、県内に住む小学生の声を基に、対戦ゲームの要素を取り入れて一緒に開発を進めているという。 報告では学生がカードゲーム制作の経緯、課題や改善の方向性について発表する。講演会は「シルク岡谷はなぜ世界一となったのか」をテーマに行い、学生らの質疑応答もある。イベントは同館と連携して開催。髙林館長と共著の出版も計画するという。 12日は学生が同館を訪れて準備。3年の山田怜奈さん(21)は「岡谷シルクに深く感動した。この魅力を多くの人に知ってほしい」。藤田康範教授(56)は「経済を学ぶ人たちが訪れる地になればいい。製糸業で隆盛を極めた岡谷の歴史と希望あふれる時代の空気を感じ、活気につながれば」と話す。 同研究会では、諏訪地方の魅力を若者に広めようと、16年からPR動画制作、同大に同市出身の童画家武井武雄の作品展示、オンライン上の仮想空間(メタバース)を活用した市民オペラ「御柱」のPRなどを行っている。23年に同市中央町の旧山一林組製糸事務所内に研究室を開設した。 講演会は午前9時、報告は同10時から。オンライン参加はホームページ(https://okayasilk.weebly.com)へ。