空き瓶回収で見つけた「魔法の紙」 ポスターみたいな地図1枚からお金が稼げるとは… 話の肖像画 夢グループ創業者・石田重廣<14>
《訪問販売の会社に就職して新人賞を獲得。社会人生活は順調なスタートだったが、営業所長と勤務についての意見が合わず、会社を辞めることに》 アルバイトはクビ、正社員でも上司に叱られて退社です。雇われて仕事をするのは無理だな、と思いました。で、自分で稼ぐにはどうすればいいか、ってなりますよね。いろいろ考えながら歩いていたとき、いいものが目に飛び込んできたんです。それは酒屋さんのシャッターの前に山積みになっていたビールとかコーラなどの空き瓶。それを見て、「あっ! これはチャンスだ」って思ったの。 居酒屋さんなど飲食店にお願いして空き瓶を回収し、酒屋さんに持っていけば買い取ってくれるんだ、と。当時は空き瓶1本10円、1ケースで240円です。で、1日10ケースを目標に空き瓶を回収し、酒屋さんに持ち込む日々が始まりました。1日2400円あれば、なんとか生活はできますからね。 僕は池袋に近い要町に住んでいたので、近所に繁華街がいくつもあって空き瓶の回収は問題ありません。そこここの路上にケースごと置いてありましたから。当時はスーパーがまだめずらしいころで、買い取ってくれる酒屋さんも200メートルごとくらいにあったんです。 で、夜9時ぐらいから繁華街を自転車でまわって、空き瓶の回収を始めました。2、3ケースを回収してアパートに戻り、ベランダに置き、そしてまた自転車で夜の繁華街へ。10ケースが目標ですから一晩で3、4往復しました。夜が忙しいんです。それを翌日、酒屋さんに買い取ってもらっていたのです。 《買い取り先の酒屋さんで驚愕(きょうがく)のできごとを目撃する》 空き瓶の回収を始めて2週間もしたころでしょうか。顔なじみになった酒屋さんで、びっくりする光景に出くわしたんです。その酒屋さんを訪れた男の人がポスターみたいな紙切れを1枚、ご主人に渡して「集金です。8000円になります」って言った。で、ご主人は8000円をその男性に支払うわけです。「ええっ、これは何なんだっ?!」ってなった。こっちは重たい思いをして空き瓶10ケースを運んで2400円なのに、なんで紙1枚が8000円なの、って。 僕は好奇心の塊ですから、疑問に思ったことはすぐに聞く。で、ご主人に「何で紙1枚に8000円も払うんですか?」って尋ねたんです。そうしたらご主人は、「ああ、あれね。広告を入れたからだよ」と。これでは何だか、よく分かりません。で、「広告って何ですか?」って続けて聞いてみました。するとご主人は、そのポスターみたいな紙を僕に見せてくれた。
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