親が高齢ですが財産管理はどうすべき? 病気やけがに備えてやっておくこと
高齢になるにつれ認知機能が低下してきます。もし認知症と診断されると、例えば定期性の預貯金の引き出しが難しくなり、財産管理の面でも大きな支障が出てきます。比較的体も動き認知機能が衰えないうちに、準備を進めたいものです。
増加する高齢者と認知症
高齢化の進展がますます加速し、75歳以上の人口も非常に多くなっています。それに伴い認知症と診断される方の数も、最近では600万人を超え、2030年には800万人を超えると推定されています。認知症だけでなく、足腰の衰えや重篤な病気にかかり、本人が金融機関に出向くことができなくなる事態も十分に考えられます。 認知症を突然発症してまず困ることは、金融機関に預けている定期性の預貯金の引き出しなどが困難になることです。キャッシュカードで引き出せる普通預金や通常貯金であれば、暗証番号を親族に伝えることで出金は可能です。 しかし、その他の金融資産管理や不動産管理、各種契約書の作成業務などに、大きな支障が出るかもしれません。例えば、不動産の売買などの行為も簡単にはできなくなりますし、新たな保険の契約などの締結にも、支障が出てきます。 こうした事態にならないためにも、元気なうちに必要な手続きをしておけば、重大な病気やけがに直面した際に、代わりの方が預金の引き出しなどの経済的行為ができます。
金融機関が進める代理人登録
本人がなるべく元気なうちに、財産保全の対策を講じることが大切です。最も簡便な方法は金融機関との取り引きに関して「代理人登録」制度を活用することです。 これは金融機関との間で、預金の引き出しや株式の売買などを、本人に代わって行う人を決めておく仕組みです。子どもなどの親族を「代理人」として登録することで、預貯金の引き出しや株式の売却などが代行できる仕組みです。 実際にできる経済行為は預貯金の引き出しや株式の売買などに限られていますが、登録をするだけで、代理人が経済行為を実行できます。費用もほとんどかからないため、認知機能の衰えを感じる前であっても、この制度の利用をおすすめします。まだ金融機関に登録されていない方は、手続きをされることをおすすめします。 最近では、認知症と診断された方の預貯金の引き出しができなくなり、老人ホームへの入居金が引き出せない、病院の入院費が払えない、といった事態も生まれます。 登録がないために、金融機関との間のトラブルも多くなっており、金融機関も率先して高齢者に「代理人登録」を推奨しています。自分が金融機関に行けなったときを想定し、信頼できる親族、トラブルになりにくい親族を決め、この代理人登録を行っておくことは意味があります。ただしこれだけがあれば十分というわけではありません。