廃止の北海道・根室線、駅舎保存へ地元熱く 映画の記憶残し、観光活用へ
【富良野、南富良野】今春廃止されたJR根室線富良野―新得間(81.7キロ)の沿線で、駅舎の保存に向けた動きが進んでいる。地元自治体や地域住民は廃止された7駅のうち4駅を残す意向。観光施設として引き続き活用するほか、地域の歴史を伝える役割を担ってもらう考えだ。 廃止されたのは富良野市の布部と山部、南富良野町の下金山、金山、東鹿越、幾寅、落合の各駅。 JR北海道によると、廃止区間の駅舎については所在自治体に対し、用地も含めて譲り受けるか確認し、保存しない意向の場合は撤去する。 2016年にJRが「単独では維持困難」とする路線を発表した後、廃線となった区間で残されているのは、そば店が入る旧石勝線夕張支線南清水沢駅(夕張市)や、観光案内所として使われている日高線旧様似駅(日高管内様似町)など。詳しい数は把握していないという。 富良野―新得間で駅舎の保存が検討されるのは、観光施設として集客力への期待が大きいことが主な理由だ。 故高倉健さん主演の映画「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地となった幾寅駅には、今も全国各地から観光客が訪れる。南富良野町は昨年から、駅の利活用などを議論する検討委員会を開催。本年度は駅周辺に残る映画のロケセットの補強や塗装工事を行った。 高倉さんの10回目の命日だった11月10日に駅舎内で開かれた偲(しの)ぶ会には、道内外から約100人が参加した。南富良野まちづくり観光協会も「幾寅駅の記憶をなくしたくない」と今月20、21の両日、駅舎周辺にアイスキャンドルをともすイベントを計画中。町は来夏にもJRと無償譲渡契約を締結する予定だ。