<甲子園交流試合・2020センバツ32校>組み合わせ抽選 一度きりの夏へ闘志
出場32校の主将をオンラインでつなぎ、8日行われた2020年甲子園高校野球交流試合(日本高校野球連盟主催、毎日新聞社、朝日新聞社後援、阪神甲子園球場特別協力)の組み合わせ抽選会で、昨夏の甲子園決勝と同じ履正社(大阪)と星稜(石川)など好カードが次々と決まった。 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 18年に2度目の甲子園春夏連覇を達成し、歴代2位の計8回の全国制覇を誇る大阪桐蔭は、15年夏を制し、計4回優勝の東海大相模(神奈川)と第6日第1試合で対戦。今春のセンバツに21世紀枠で選出された磐城(福島)は第4日第2試合で昨秋の東京王者・国士舘(東京)と顔を合わせる。昨秋の明治神宮大会を制した中京大中京(愛知)は16年春を制した智弁学園(奈良)と第3日第1試合でぶつかる。 抽選では、各都道府県高校野球連盟が主催する独自大会の日程に配慮。事前に第1日から第3日に試合をする14校と、第4日から第6日に登場する18校の2グループに分け、同一地区の対戦も避けて行った。対戦カード決定後に、各校が出場できる日程や日帰りが可能となる近隣校なども考慮し、主催者が試合日と試合開始順を決定した。 交流試合は原則無観客で、8月10日に開幕。雨天順延に備えた予備日を挟み計6日間、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開催される。 ◇東西の強豪、激突 交流試合の出場32校で屈指の実績を誇る両校の顔合わせが実現した。大阪桐蔭は2018年の春夏連覇を含め、センバツと全国選手権で計8回優勝、東海大相模は15年夏など計4回頂点に立っている東西の強豪だ。 今年のチームもともに強打を誇り、相手の印象について大阪桐蔭の主将・藪井は「打力が高いチーム」と評し、東海大相模の主将・山村は「毎年強くて、総合力のある素晴らしいチーム」。勝っても負けても1試合限りとなる戦いに向け「感謝の気持ちを持って全力でプレーしたい」と口をそろえた。【野村和史】 ◇中京大中京、調整順調 春夏の甲子園歴代1位の計11回の優勝を誇り、昨秋の明治神宮大会を制した中京大中京の仕上がりは順調だ。元々3年生がチームの主力のため、高橋監督は交流試合についても「3年生で臨みたい」と語る。 4日に開幕した愛知独自大会では1回戦をコールド勝ち。5日は交流試合出場校の智弁和歌山と練習試合を行い、2試合とも勝利した。 智弁学園の印象について印出主将は「甲子園常連校で力のあるチーム」と分析。新型コロナウイルス感染拡大などで、多くの人が苦しんでいることを受け「このような状況の中で、高校野球から何かを発信したい」と語り、新チーム発足後から続いている公式戦無敗を目標に掲げた。【藤田健志】 ◇「初出場」対決 くしくも甲子園初出場同士が、特別な舞台で対戦することになった。プロ野球・ダイエー(現ソフトバンク)で首位打者にも輝いた佐々木誠監督が率いる鹿児島城西の古市主将が相手の印象を「総合的に良いチーム」と言えば、加藤学園の勝又主将も「投打ともにレベルの高い良いチーム」と返した。 鹿児島城西は八方、前野の二枚看板。出場する主力投手の中で2019年秋の公式戦の防御率がともにトップ10入りする好投手だ。対する加藤学園のエース肥沼はスタミナ十分で、ともに投手の出来が鍵を握る。古市主将は「鹿児島城西らしい野球を展開したい」、勝又主将は「校歌を歌って恩返ししたい」と、それぞれ“初陣”への意気込みを示した。【吉見裕都】 ◇磐城、士気高く 磐城の岩間主将は抽選後、「日本全国で苦しい状況の中でたくさんの人が頑張っている。多くの人に笑顔や感動、勇気を与えられるように頑張って、勝ちたい」と語った。 春に続いて夏の甲子園の中止も決まった直後は、チーム内に動揺が広がったが、福島県で独自大会が開催されることになり、「士気が上がった」という。 交流試合では18、19年と秋季東京大会を連覇した国士舘と対戦する。岩間主将は「打撃が良い印象がある」と警戒しつつ、「一人一人の意識が高まった」と手応えも口にした。 センバツ中止後、チームを強化してきた木村保前監督が転勤。木村前監督への感謝の思いも胸に、憧れの舞台に臨む。【岸本悠】 ◇花咲徳栄・井上「最高の力発揮」 開幕試合で大分商と花咲徳栄が顔を合わせる。昨秋の九州大会で準優勝した大分商。公式戦7試合登板で、防御率1・68と絶対的エースである主将・川瀬は「交流試合が決まってからモチベーションが上がっている。目標へみんなで取り組んでいる」とチーム状態のよさを口にした。 一方の花咲徳栄は、2017年夏の甲子園を制覇した強豪。昨秋の公式戦でチーム打率3割9分と強力打線が持ち味だ。2本塁打11打点を放った中心的存在の主将・井上は「自分たちの最高のパフォーマンスを発揮したい」と意気込んだ。【岸本悠】 ……………………………………………………………………………………………………… ◆第1日(8月10日)(左が一塁側) ◇強打線VS本格右腕 ▽第1試合(10時) 大分商(大分)―花咲徳栄(埼玉) ▽第2試合(12時40分) 明徳義塾(高知)―鳥取城北(鳥取) 開幕試合は、破壊力のある花咲徳栄打線と大分商の右腕・川瀬の対決。花咲徳栄は主砲・井上を中心に2019年秋の埼玉県大会で地区予選を含む全7試合で計72得点。19年夏の甲子園経験者に加え、19年秋の打率5割超の2番・浜岡ら下級生にも巧打者が多い。大分商の川瀬は140キロ台の直球を持つ本格派でスライダーも切れる。打っても中軸で19年秋は打率4割6厘、チーム最多の9打点。投打ともに川瀬の出来が命運を握る。 第2試合は明徳義塾が投打で優位。左腕・新地は制球が良く、19年秋の四国大会全4試合を完投し与四死球ゼロ。打線は俊足の1番・奥野ら19年夏の甲子園経験者6人が残る。鳥取城北は勝負強い中軸の河西の前に好機を作りたい。 ◆第2日(11日) ◇天理、最多20本塁打 ▽第1試合(10時) 天理(奈良)―広島新庄(広島) ▽第2試合(12時40分) 創成館(長崎)―平田(島根) ▽第3試合(15時20分) 明豊(大分)―県岐阜商(岐阜) 天理は2019年秋の公式戦(12試合)で出場校中最多の20本塁打。5本塁打を放った左打ちの1番・下林が打線を活気づける。広島新庄は速球派の秋田、制球力が高い秋山のタイプの異なる好左腕が天理打線をどう抑えるか。 第3試合は、強打の明豊と県岐阜商投手陣の対決。明豊は19年秋の公式戦1試合平均11・5得点は出場校中トップ。布施、居谷ら長打力のある打者がそろう。県岐阜商は変化球が多彩な左腕・野崎ら140キロ超の投手5人を擁する。創成館と平田は、ともに投手を中心にした堅守が身上。猿渡、松永の中軸がともに勝負強く、機動力も使える創成館が打力で優位に立つ。平田はエース右腕・古川が粘り、競り合いに持ち込みたい。 ◆第3日(12日) ◇最速153キロ・高橋に注目 ▽第1試合(10時) 智弁学園(奈良)―中京大中京(愛知) ▽第2試合(12時40分) 鹿児島城西(鹿児島)―加藤学園(静岡) 全国屈指の好投手、中京大中京のエース右腕・高橋が強打の智弁学園打線をどう封じ込めるか。高橋は最速153キロの直球にカットボールも鋭く、制球も安定している。140キロ台後半の直球を持つ左腕・松島も控える。智弁学園は、OBの岡本(巨人)の高校時代にひけを取らない飛距離を誇る2年生の前川が4番に座り、上位を打つ白石も長打力がある。破壊力は出場校でも指折りだ。 第2試合は「ダブルエース」と「不動のエース」の対決。鹿児島城西は安定感抜群の前野と、140キロ台の直球に伸びがある八方の両右腕による継投が必勝パターン。加藤学園の右腕・肥沼は内角の直球とチェンジアップによる緩急が持ち味。投手戦になりそうだ。 ◆第4日(15日) ◇昨夏決勝の両雄再び ▽第1試合(10時) 履正社(大阪)―星稜(石川) ▽第2試合(12時40分) 磐城(福島)―国士舘(東京) ▽第3試合(15時20分) 仙台育英(宮城)―倉敷商(岡山) 決勝で対決した昨夏は履正社、昨春は星稜に軍配が上がった。両チームとも強力打線が強みだ。履正社は勝負強い中軸の小深田、関本を中心に切れ目がない。星稜は昨夏の甲子園でも中軸を務めた知田、内山が打線をけん引する。ともに駒がそろう投手陣をどう打ち崩すか。 第3試合は、ともに足を使った攻撃が持ち味。仙台育英は入江や笹倉ら長打力のある打者がそろい、得点力が高い。倉敷商は攻撃的な2番・原田を中心に、つなぐ打線で接戦に持ち込みたい。 磐城と国士舘は好投手対決。国士舘はエース右腕・中西が長身から投げ下ろすシンカーを武器に打たせて取る。磐城のエース右腕・沖は、直球とキレのあるスライダーで粘り強く投げる。 ◆第5日(16日) ◇好投手・打者ズラリ ▽第1試合(10時) 明石商(兵庫)―桐生第一(群馬) ▽第2試合(12時40分) 帯広農(北海道)―健大高崎(群馬) ▽第3試合(15時20分) 鶴岡東(山形)―日本航空石川(石川) 明石商は2019年の甲子園で春夏連続4強入りに貢献した投打の軸に注目だ。右腕・中森は150キロ超の直球を誇り、来田は19年センバツ準々決勝で先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打を放った。桐生第一は広瀬、中島らが軸の、19年秋の公式戦8試合で72得点を挙げた打線が中森を攻略できるか。 第3試合の鶴岡東は山路、鈴木ら打線に切れ目がない。日本航空石川は19年秋の北信越大会全4試合に先発した田中、長身の嘉手苅の両右腕を軸に守り切りたい。19年秋の明治神宮大会準優勝の健大高崎は140キロ超の直球を誇る左腕・下、190センチ超の長身右腕・橋本拳ら投手陣が充実。帯広農は、水上ら19年秋の公式戦でチーム打率4割4厘の強力打線で対抗したい。 ◆第6日(17日) ◇屈指の好カード実現 ▽第1試合(10時) 大阪桐蔭(大阪)―東海大相模(神奈川) ▽第2試合(12時40分) 智弁和歌山(和歌山)―尽誠学園(香川) ▽第3試合(15時20分) 白樺学園(北海道)―山梨学院(山梨) 大阪桐蔭は強打者の西野、140キロ超の直球を誇る左腕・藤江、右腕・関戸ら投打が高いレベルでまとまる。東海大相模は2019年秋の公式戦9試合で94得点の強力打線。19年高校日本代表で俊足の鵜沼、全国屈指の強打者・西川らが大阪桐蔭投手陣を打ち崩せるか。 智弁和歌山は19年秋の公式戦で出塁率5割超の細川、長打力のある徳丸ら伝統の強打は健在。投手陣も球威のある右腕の小林樹らを擁する。尽誠学園は強打の仲村らが得意の集中打で、左腕・村上ら投手陣を援護したい。19年秋の明治神宮大会4強の白樺学園はエースで主砲の片山が投打の大黒柱。山梨学院は粘り強さが光る左腕・吉川を、犠打や足を絡めた攻撃でもり立てたい。