村上春樹「イーサン・ホークが映画の中で、自らの声で歌っています。入魂の歌唱です」 “歌う映画スター”特集 秘蔵音源公開
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。6月30日(日)の放送は「村上RADIO~歌う映画スターたち~」をオンエア。村上春樹さんが持っている秘蔵の音源の中から「えっ!? こんな人も歌っているの?」と少し驚いてしてしまうような楽曲を放送しました。 この記事では、中盤3曲について語ったパートを紹介します。
◆Ethan Hawke「My Funny Valentine」
映画『ブルーに生まれついて(Born to Be Blue)』は2015年に制作された、ジャズ・トランペッター、チェト・ベイカーの伝記映画ですが、こだわりの男、イーサン・ホークがベイカーをどこまでもリアルに演じていて、ずいぶん見応えがありました。チェト・ベイカーは1950年代に彗星のごとく現れ、一世を風靡(ふうび)しますが、麻薬に溺れて身を持ち崩し、悲劇的な道を辿ります。しかし残された力を振り絞り、最後まで自分自身の音楽を奏で続けました。痛々しいけど、美しい映画でしたね。 イーサン・ホークが映画の中で、自らの声で歌っています。「My Funny Valentine」。これが素晴らしいんです。入魂の歌唱です。トランペットを吹いているのはケヴィン・ターコット。
◆Jack Nicholson「La Vie En Rose」
ジャック・ニコルソンが歌う『バラ色の人生』。これはこの番組で何年か前にもおかけしたことがあると思うんだけど、何度聴いても素敵なので、またかけます。ジャック・ニコルソンの歌なんてなかなか聴く機会はありませんしね。 映画『Something's Gotta Give』、日本題は『恋愛適齢期』。ジャック・ニコルソンとダイアン・キートンという、一筋縄ではいきそうにない2人の俳優のガチの顔合わせです。でもとても楽しそうに共演しています。映画自体はまあ、なんてことのないラブコメなんだけど、2人の演技は貫禄十分というか、やはり見物ですね。そしてジャック・ニコルソンが大サービス、「バラ色の人生(La Vie en Rose)」を歌います。 <収録中のつぶやき> 「すごいね。親父力というか……(笑)」