King Gnu、Vaundyの最新作も話題 藤井 風、サカナクション……膨大な楽曲数収めたアルバムが定番に?
藤井 風、サカナクションもハイボリュームなアルバムをリリース
昨年藤井 風がリリースした2ndアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』の初回盤には『LOVE ALL COVER ALL』と題したピアノ弾き語りによる洋楽カバー集が収録されている(後日単独作品として配信でもリリース)。『LOVE ALL SERVE ALL』『LOVE ALL COVER ALL』を合わせると収録曲数は22曲にも及ぶ。これは、藤井の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』から行われている取り組みだ。『LOVE ALL COVER ALL』にはドナ・サマーの「Hot Stuff」やレディー・ガガの「Eh,Eh」、ポスト・マローンの「Circles」などを収録。藤井のルーツであり、デビュー前にYouTubeに多数投稿していたカバー動画からの流れを彷彿とさせると共に、単に既発曲を収めるだけではない特別さを生み出している。 これまで触れてきたものと少し毛色は異なるが、サカナクションが今年9月にリリースしたリアレンジ&リミックスアルバム『懐かしい月は新しい月 Vol.2 ~Rearrange & Remix works~』は、CD2枚組・23曲で構成されている。本作は山口一郎の体調不良によって休止していたサカナクションの再始動に向けて制作されたアルバム。「あいちトリエンナーレ」での公演『暗闇 -KURAYAMI-』などで制作されてきたリアレンジ楽曲に加え、本作のために新たにリアレンジした楽曲も多数収録されている「月の現 ~Rearrange works~」に、国内外のアーティストによるリミックス音源集「月の幻 ~Remix works~」の2枚で構成される。特に「月の現 ~Rearrange works~」では「新宝島」や「忘れられないの」といった近年のサカナクションを代表する楽曲も大胆にアレンジが加えられており、さまざまな形でファンを楽しませようという気概を感じさせる。 こうしたハイボリュームなアルバムを制作する背景や目的は各々異なるだろうが、共通するのは近年ストリーミングサービスが中心となっている中でアルバム作品をどう意味づけるかを考えている点だろう。その一つの結果として膨大な収録曲で構成されるアルバムが目立つようになっていると考えられる。その一つひとつに注目して、ミュージシャンたちの想いや考え方を想像しながら作品を楽しむのも面白いだろう。
ふじもと