躍進モンテ、いざPOへ(下) フォーメーション、理想の形に
サッカーJ2・モンテディオ山形は今季、リーグ中盤までスタメンを固定できなかった。第25節岡山戦まで試した先発は実に23通り。当初見込んだ主力級にけがが頻発し、続く選手が活発に競争した面もあるが、理想の形を見いだすまで時間を要した。最終盤の9連勝はベストの組み合わせを見極め成し遂げた。12月1日にホームで初戦を迎えるJ1昇格プレーオフ(PO)には最高の状態で臨みたい。 PO進出を実現させた快進撃のきっかけは、夏の補強だけではなく、MF国分伸太郎の左サイド起用にもあった。 開幕戦スタメンで今季加入新戦力はMF気田亮真のみ。昨季の戦い方をベースに走り始めたが、第2節までに共にFWの藤本佳希と後藤優介が離脱。攻撃のつくり直しを迫られた。気田のトップ下起用や右サイドバックにDF熊本雄太を置く可変システム、第16節秋田戦では3バックにするなど試行錯誤が続いた。 後半戦に入りFWディサロ燦シルバーノとMF土居聖真の新戦力が加入。第25節岡山戦で初めて両雄がピッチに立ったが堅守に阻まれ、狙った組み立てはできなかった。
苦戦を踏まえ渡辺晋監督は大胆な決断を下す。パスや連係が持ち味でトップ下を定位置としていた国分を、縦の突破で攻撃に勢いを生む役割の左サイドウイングに移した。加入したばかりで連係構築が途上の土居、そしてディサロをつなぐ働きを、戦術理解度の高い国分に託した。 この起用がはまる。第26節徳島戦で国分は中央のパス交換に積極的に加わり中盤を厚くした。状況に応じて土居と立ち位置が入れ替わる鮮やかな連係で敵陣に迫った。試合を重ねると、流動的なパスワークに両ボランチも加わり、山形の攻撃は相手の守備網に捉えられず、ゴール量産につながった。 国分が中央に入る場面は、左サイドのスペースをDF山田拓巳が駆け上がり埋めた。山形在籍17年目のベテランは攻撃参加の好機を見逃さず、後半戦で2得点。国分は「山くん(山田)が高い位置に行ってくれるからピッチ中央でプレーできる」と感謝する。 DF西村慧祐のけがで、途中加入のDF城和隼颯が出場機会をつかんだことを除き、スタメンを固定し白星を積み上げた。年間順位が一つ下の5位岡山を迎えるPO初戦も、このメンバーは変えないのが得策か。
上位とぶつかった昨季PO初戦は、今季も活躍するDF川井歩、J1川崎から期限付きで在籍したFW宮城天と主力2人をコンディション不良で欠き、引き分けで敗退する悔しさを味わった。今季はPO進出決定から初戦まで昨季より長い3週間で、ホームで戦うアドバンテージも得た。ベストな布陣で全力を出せる状態で臨み、10年ぶりのJ1昇格に王手をかけたい。