【試乗】日本のミニバン史上最上級の室内空間に異論なし! レクサスLMの6人乗り仕様は「買えるなら」乗員全員幸せになれるクルマだった
装備はさすがミニバンといった充実っぷり
そんなLM500h version Lを走らせてみると、4人乗りのEXCECUTIVEのときにも驚いたのだが、予想以上に「操る楽しさ」を感じさせてくれる。ボディのカタマリ感があり、右へ左へとカーブが続くような道での身のこなしは巨体とは思えないスッキリ感。ブレーキングの初期ではやや重さを感じるところもあるものの、加速と減速のコントロールがしやすく、慣れてくれば上質ななかにもキビキビとした爽快感が味わえる。 高速道路の安定感でいえば、4人乗りのほうが重厚な接地感があったように思え、こちらの6人乗りはもう少しスポーティな印象。でもこれなら、家族と離れてひとりで移動する際にも“無駄な空間”を走らせているというストレスはなさそうだと感じた。 使い勝手に関しては、4人乗りとはやや異なる部分がいくつかある。 まず、運転席まわりでは、センターコンソールボックス内に非接触充電のスペースが設けられ、スマホを置いたままでも小物トレイとして使えるようになっている。2列目シートでは、4人乗りでは目の前に大型のディスプレイや冷蔵庫、収納ボックスなどが備え付けてあったが、その代わりにしっかりとした握り心地のグリップ、ペットボトルなどが入る収納スペース、雑誌などが入るシートバックポケットといった、荷物の収納がしやすくなっているのはファミリーユースにも便利。HDMI端子とコンセントもある。 3列目シートの左右にもドリンクホルダーと小物トレイ、USBが備わっている。オーバーヘッドコンソールのスイッチが、3列目の乗員からも使いやすくしてあるところはさすがだ。乗り降りに関しても、手動なので操作はやや重めだがウォークイン機構があり、アクセスしやすいと感じた。 そしてラゲッジは、3列目シートまで使用しても機内もち込み用の小さなスーツケースくらいなら積めるスペースがある。普段の買い物くらいなら余裕で使えそうだ。3列目シートは跳ね上げ格納式で、さすがに操作はやや重い。でも格納時の張り出しは予想したよりも小さめで、これなら大きな荷物も積みやすいと感じた。 ほかにシートアレンジとしては、2列目と3列目をフルフラットにしたり、1列目と2列目をフルフラットにできるモードもある。シートが肉厚でサイドサポートも大きめなので、車中泊をするにはクッションなどで隙間を埋めていく必要はあるが、広さとしては大人2人がゆったりと寝ることができる。こうしたところは、4人乗りにはない6人乗りだけの使い勝手となっている。 価格は4人乗りが2000万円だったところ、6人乗りは500万円引きの1500万円。ただし、アルファード/ヴェルファイアの最上級グレードと比べると、600万円ほど高い価格になる。その価格差をどう見るかは、ミニバンにもレクサスの世界観をしっかりと具現化したインテリアデザインや上質な素材、見えない部分での剛性アップや静粛性へのこだわり、といったところに価値を見出すかどうかで変わってきそうだ。とにかく、現時点で日本に存在する、最高級のミニバンであることに誰も異論を唱えないのがLMである。
まるも亜希子