Withコロナ生活の癖? 帰宅後即お風呂 夫の“除菌ルール”に戸惑いも… 感染症専門医「生活の中で“無菌”ということはあり得ない」
■感染症専門医「手指衛生の後に顔や髪触ったら全部チャラ」
大阪・育和会病院の感染症専門医で、YouTubeでも細菌学などについて発信している藤岡研氏は、わやさんの夫の行動について「そこまで感染対策上はする必要ない」と指摘する。「食事前には手指衛生が基本だが、やってもキリがない。生活していて、“無菌”はあり得ず、気持ちの問題が大きい。精神医学的には、“認知行動療法”で『これをやってはダメ』と、繰り返し認識することで治ることはある」。
衛生観念の違いとして、「ジャムをパンに塗ったスプーンをそのまま瓶に戻す」のはどうなのかとの議論もある。東京海洋大学食品微生物学研究室の高橋肇教授は「焼いてあるパンは細菌・カビが少ない」として、パンくずがジャムに混入しても、低温で保管すれば菌の増殖は抑えられ腐敗しにくいと語る。しかし、時間はかかるものの菌の増殖は進み、また低糖度ジャムだと早く菌の増殖が進むこともあり、なるべく早く使い切るのがベストだと説明する。 「菌に触れた方が免疫力が上がる」といった考え方も少なくないが、実際のところはどうなのか。細菌やウイルスが体内に侵入すると、抗体が作られ、同じ抗原から体を守りやすくなる「獲得免疫」は存在する。しかし、細菌が出す毒素からは守られず、ウイルスは変化することもあり、除菌をやめて、あえて菌に触れるメリットは少ない。
周囲の人がやっていて気になる行動を聞かれ、藤岡氏は「手指衛生の後に、無意識に顔や髪を触っていると、『せっかくキレイにしたのに』と思う」と答える。「免疫力は、栄養のあるご飯を食べ、運動をして、しっかり睡眠を取るという基本的なことから成り立っている。除菌の有無とは関係なく、もし除菌したと思っても、うっかり触れば全部チャラになってしまう」。 コロナ禍が落ち着いたことで、価値観も変わってきた。「コロナの病原性が低下して、神経質にならなくて良くなり、意識もゆるくなってきた」とする一方、「元の生活に戻ってはいるが、やはり“密”な状況で感染する可能性はある。コロナ禍で意識が変わっても、その認識は持っておくといい」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)