【石原さとみさんインタビュー】「私の幸せは充実であり、充実は成長なんだと思う」
LEE COVER INTERVIEW \LEEカバー初登場!/:新しい、石原さとみ。
撮影中はその美しさに歓声があがり、インタビューでは放つ言葉の美しさに魅了される。外側も内側もキラキラと眩しいほどに輝く“美しい人”。公私ともに新ステージを迎えた石原さとみさんが、LEEの表紙に初登場。変化と進化を続ける、“今”の彼女の魅力に迫ります! 【写真】ジャケット¥66000・ワンピース¥59400/オーラリー ハートネックレス¥198000・ネックレス¥176000/ロンハーマン(ベッティーナ ジァヴァエリ) ムーンネックレス¥63800(サンズ サンズ)・スカーフ¥17600(レイト サンデー アフタヌーン)/RHCロンハーマン 靴¥39600/S&T(SAYE) PROFILE: いしはら・さとみ●1986年12月24日生まれ。2003年、映画『わたしのグランパ』でデビュー。その後、数々の話題作に出演。主演ドラマ『Destiny』がテレビ朝日系列で毎週火曜21時~放送中。また、5月17日に主演映画『ミッシング』が公開。NHK『あしたが変わるトリセツショー』にMCとしてレギュラー出演中。老若男女に愛される国民的俳優であり、プライベートでは1児の母でもある。
3年ぶりのドラマ主演、意欲作の映画も公開! 俳優・石原さとみの変化と進化
▶自分自身に飽きたくなくて、“新しい自分”を求めていた 「昨年は映画やドラマの撮影で忙しい毎日を送っていたのですが、実は雑誌の撮影は久々なんです」 そう語りながらカメラの前に立ち「映像もですが写真もやっぱり楽しいですよね」と微笑(ほほえ)んだ石原さとみさん。その姿はしなやかに、強く、より美しく進化。スタジオのモニターに写真が映し出されるたび、そのまばゆいほどに輝く美しさに、スタッフからは歓声が湧き上がりました。 「独身時代は自分の進みたい方向に向かって、人生も生活も自分のペースで歩むことができたけど、育児をしている今は思いどおりにいかないことがほとんどなので。美しくなったかどうかはわかりませんが、どんどん強くタフになっていく自分は感じています」 そして「ライフステージが変わりもちろん大変なこともありますが、今までとは違う毎日や変わっていく自分がおもしろくもあるんです」と笑います。“新しい毎日”も、経験を積み重ねながら変化していく“新しい自分”も楽しんでいる石原さん。それは仕事も同じです。産休明けの復帰作となった映画『ミッシング』、この作品は石原さんにとって今までにない挑戦作になったそうです。 「今作の監督である吉田恵輔さんとは、約6年前からずっと一緒に仕事がしたいと切望していたんです。俳優としてのキャリアを重ねるなかでどこか自分が自分に飽きている感じがして。私が自分に対して抱く“つまらない”という思いはきっと世間も同じだろうなと。そんな自分から脱したいと感じているときに出会ったのが吉田作品だったんです。 そこで、この人しかいない、この人が私を変えてくれると直感的に思って。知人が吉田さんと一緒に飲んでいるのを聞きつけて、そのバーに押しかけて“私はあなたと仕事がしたいです”と直談判したこともあるんです。そのときは“想像ができない”と断られてしまったんですけど、その3年後に“脚本を書きました”と連絡をくださって。それが『ミッシング』だったんです」 ▶現場ではまるで新人女優でも、それが楽しかった ある日、突然いなくなった娘。その帰りを心から願いながらも、どうにもならない現実にもがき苦しみ、心を打ち砕かれていく。映画『ミッシング』は愛するものを失った家族を描いた物語です。 「今作は母になった私への“あてがきですか?”とよく聞かれるのですが、実は全然そうじゃなくて。初めて脚本を読んだのは母になる前だったんです。そのときと、母になった後では驚くほど感じ方が違って。撮影に入る前、あらためて脚本を開いたときはあまりのつらさに何度も閉じそうになりました。今の私には自分の命よりも大切な存在がいる。それを失い、探し続けるのは、どんな思いだったのか。初めて読んだときの何万倍も感情移入しましたし、容易に想像できるからこそ、不安や怖さも強く感じました。でも、だからこそ、“あ、できるな”と。今の私ならこの役をちゃんと生きることができると思うことができたんです」 髪はボサボサ、唇はカサカサ、顔に寝あとをつけたまま、必死に娘を探すためにチラシを配り続ける……。スクリーンには今まで見たことのない石原さとみの姿が。子どもを失う悲しみと苦しみを全身全霊で演じた、その演技は観る人の心を大きく揺さぶり、試写室でもあちこちからすすり泣く声が聞こえてきました。 「初日からどう演じていいかわからなくなってしまったほど、吉田監督の現場は初めてのことだらけでした。それこそ、今までは自分のことをどちらかといえば理性的に動く器用なタイプだと思っていたのですが、吉田現場では“いつもの私”ではいられなくて。感情のコントロールがうまくできなくなってしまう場面も。結果、監督から“石原さんはまるで動物みたいだね”と言われ、“ほかの現場ではもっと理性的に動かなきゃダメだよ”と今までされたことのないアドバイスをされてしまったりして(笑)。本当に迷ったり、悩んだり、不安になったりの連続だったのですが、私はすごく楽しかった。それはまるで新人に戻ったような感覚であり、まさに私がずっと求めていたものだったから」 まだまだできないことがある、まだまだ知りたいことがある、芝居の奥深さをあらためて教えてくれた映画『ミッシング』。この春は、その経験をしっかり抱えながら挑んだ連続ドラマ『Destiny』もスタート。俳優デビューしてから約20年たつ今、「一番芝居を楽しめている自分がいる気がする」と石原さんは語ります。 「連続ドラマは約3年ぶりだったので。離れた時間があるからこそ、正直、できるのかなって。怖いと感じてしまう自分もいたんですけど、今の私は“宝物”を持っているから大丈夫だって思えました。実際、ドラマの撮影現場は本当に大変でしたが、楽しいと思える瞬間もたくさんありました。そのたび、私はやっぱりこの仕事が好きなんだなと感じるんです」 ▶私の幸せは充実であり、充実は成長なんだと思う ひとつの場所に留まらず、挑戦や変化も恐れない。石原さんは“新しい自分”へと進化し続ける人です。過去には「自分の足で歩き始めた20代は毎日が色鮮やかで目まぐるしかった。ガムシャラに走る時期を終えた30代は“本当の幸せは何か?”考え始めている」と発言。37歳になった今、その思いはどのように進化し、どんな時期にいると感じているのか、尋ねてみるとこんな答えが返ってきました。 「今はすごく幸せです。そう言えるのはきっと“幸せとは充実である”という私なりの答えを見つけることができたから。充実という言葉だけ聞くと、時間やお金やおいしいものだったり、いろんなイメージが頭に浮かぶと思うのですが、そういうものではなくて。本当の充実とは“成長”だと私は思うんです。目の前には大変なことが多々あるけど、それを乗り越えた経験が血となり肉となり明日の自分を作っていく。それを実感することができたとき、達成感と同時にこの先の自分への可能性を感じて心が喜びに震える。これからも、役者として、一人の女性として、母として、その喜びをあきらめずに追い続けることができたら、きっと私は幸せなんだろうな」 ※吉田恵輔さんの吉は正しくはつちよし