19年前の夏、新聞記者はコミケに出展した…2000年代の「オタク」とは何だったのか (福)に捧ぐ
新潮社執行役員で、同書を手がけた郡司裕子さんは、「まだインターネットが怪しげなメディアと思われていた時代に、ネットの善意が結晶すれば、こんなにすごいことができるという希望を示したと思う」と振り返る。
翻って、今の殺伐とした巨大SNSからは「電車男」はもう生まれないのでは?
「そんなことありません。SNSの中にも、小さいけれどよい話は日々たくさんある。みんながニュースとして注目しないだけですよ」
もういない君へ
11月に冬コミの当選通知が届いた。再び「直言兄弟」を作る時がやってきた。
相棒の福田記者はもういない。彼は21年に49歳で急逝した。その代わり、一回りも二回りも若い記者たちが力を貸してくれている。黒瀬さんの「短歌魔宮」にも復活してもらおう。こんな仲間たちと同人誌が作れることを幸せに思う。
福田君、この「取材帳」は君に読ませたくて書いた。
さあお祭りだ。東京ビッグサイトで会いましょう。
電車男とは…
あるオタク青年が、電車の中で酔漢に絡まれた女性を救い恋に落ちる。奥手な彼は独身男性が集うインターネット掲示板に助けを求め、デートを成就させるための様々なアドバイスを受ける。「電車男」の恋の行方にネット民は一喜一憂し、励ましは大きなうねりとなっていく。掲示板の書き込みを再現した単行本は105万部に達し、映画、ドラマ化されて社会現象となった。一部でフィクション説も流れたが郡司さんはきっぱり否定。「電車男」さんとは今でも連絡を取り合っているそうだ。