法務大臣に就任した鈴木馨祐氏の経歴・政策は?【第二次石破内閣初入閣】
11月11日の特別国会で総理大臣に選出された石破茂総理は同日、閣僚人事を行い第二次石破内閣が発足しました。10月に発足した第一次石破内閣の閣僚を再任した一方、10月の衆院選で落選した閣僚などの後任として3人を入閣させました。このコラムでは法務大臣として初入閣した鈴木馨祐(すずき・けいすけ)氏の経歴と政策を紹介します。
鈴木氏は衆議院議員6期目。大蔵省や在NY副領事を経て2005年初当選
鈴木氏は1977年2月9日生まれ、東京都出身で現在47歳です。 東京大学法学部卒業後、大蔵省(現・財務省)に入省。福岡国税局、ジョージタウン大外交大学院フェロー、在ニューヨーク副領事、厚生労働省勤務を経て、2005年衆院選で比例南関東ブロックで初当選をはたします。 次の2009年には落選しましたが2012年に返り咲き、以降5期連続当選し現在6期目です。先月の衆院選では小選挙区(神奈川7区)で次点になるも、比例南関東ブロックで当選しました。 これまで外務副大臣や財務副大臣、自民党青年局長などを歴任しました。自民党政治刷新本部の政治資金に関する法整備検討ワーキンググループでは座長を務めました。 先日の衆院選で落選した牧原秀樹氏の後任で、鈴木氏は今回が初入閣となります。
鈴木氏の政策は?
鈴木氏は自身の公式サイトで以下の政策を掲げています。 【政策2030】「変化に対応できるしなやかさ」×「変化を創り出すしたたかさ」 キーワードは「自由」「オープン」「イノベーション」 コロナ禍に直面する前から、我々は全く新しい時代の流れに直面していました。 一言でいうと、DX(デジタルトランスフォーメーション)、データ駆動型社会、消費者のニーズの変化の速さ、に代表される「変化の時代」。 そこに経済・社会システムが適応できなければ、我々は厳しい国際競争に勝ち残ることはできません。 これまでの成功体験にとらわれることなく、新たな時代の変化を見据えた政策が、今求められています。 【コロナ禍を乗り越える】 新型コロナと経済の両立 新型コロナをどう収束させるか。一番大事なことは亡くなる方の数を減らすことです。そのためにはECMOや人工呼吸器の数より、重症者の数を抑えることが重要です。また、迅速なワクチン接種や、医療提供体制の環境整備等に加え、感染状況がわからなければ気をつけることも難しいので、その為の参考情報として感染状況を正確に把握し、感染を抑える対策を進めることが大事です。一方で経済については、感染の収束を待ってから経済を再開させるということだと、経済は破綻してしまいます。重症者の数をしっかり見ながら、そこが急増しない中で経済をちゃんと回していく、そのことで、雇用危機や金融危機を発生させない政策が求められます。 しなやかさとしたたかさ 新型コロナ以前からの流れ、例えばデジタルトランスフォーメーション(DX)、データ駆動型社会や消費者の変化、イノベーションのスピードなどが世界的に加速し国際競争が過酷になっていた現実は変わっていません。新型コロナは、これまでの流れをさらに加速させる可能性が高いと考えています。 だからこそ、今問われているのは、変化にちゃんと対応すること。そして、新しい市場を創る(変化を作って加速させる)企業をいかに増やすか、も大事なポイントです。 「変化に対応できるしなやかさ」と「変化を作り出せるしたたかさ」、この2つがこれからの日本に欠かせません。 【日本のこれから】 努力が報われる自由でオープンな日本 卒業したときがたまたま不況だったから求人がなかった、親の経済状況で進学をあきらめざるを得なかった、そうした本人の努力や能力と関係ないところでチャンスが奪われることがあってはいけません。変化の時代のセーフティネットは、挑戦の機会をちゃんと保証すること。どんなに頑張っていても、様々な不運に直面することはあります。だからこそ、そうした不運を乗り越え再チャレンジできる仕組みを創り真の意味でのリスクヘッジをすることこそが、これからの時代の新しい政府の役割です。 次世代型「政府のカタチ」 変化の時代には、政府のあり方も変わらねばなりません。医療の高度化・高齢化、自然災害の増加、インフラの老朽化など、社会課題が多様化する中で、財政的制約もあります。だからこそ、従来「プロの公務員」が「税金を使って」行ってきた領域を見直す必要があります。今、日本には公務員が330万人以上、政治家も約3.5万人います。課題解決にあたって行政が独占するのでなく、NPOや民間の企業のノウハウと資金を使うことで、知の自由競争に基づく機動的な「小さな政府」の実現を図ります。 人材 × 資金 × イノベーションの実現 これまでの経済政策には、政府がバラマキをして無理やり需要を創るようなものが多かったことは否定できません。経済が右肩上がりの時代は良かったモデルも、「変化の時代」には通用しません。今必要なことは、成長分野、付加価値が高い産業と「ヒト(人材)」「カネ(資金)」が結びつくエコシステムを作ること。内部留保・株の 持ち合い、閉鎖的な労働市場・終身雇用、という「二つの罠」を打ち破る必要があります。この状況を打破して、主役である企業や個人が成長分野に英知を結集できる仕組みを作ることが、これからの経済政策の肝です。 【リアリズムこそ外交の根幹】 国際ルールは作るもの 東アジアの地政学的環境は世界的にも大変厳しいものです。中国や北朝鮮など潜在的な脅威に囲まれ、アメリカの将来的なアジアへの関与の強さについても不透明感は否定できません。そのような中、日米同盟を基軸とし、リアリズムに基づいた戦略的な外交を展開していくことが必須です。また経済や安全保障がグローバル化するに伴い、「ルールを制する者が世界を制する」といってよい状況になってきています。国際的なルールや標準をどう形成し、国際秩序の中で戦略的優位を確保できるか。国際的なルールは守るものではなく、作るもの、発想の転換が必要です。 気候変動と国際政治 最近の雨の降り方は明らかに変わってきました。気候変動の影響も指摘されています。長期的には食糧問題や感染症にも大きな影響を与えるといわれています。もちろんエネルギー、電力は経済成長・イノベーションの大きなファクターです。しかし、日本が化石燃料の中でも石炭に固執しているのは明らかに間違っている。政府が将来の変化を踏まえ、正しい方向性を示し、正しい規制をすることで、適切なマーケットを形成する。そのことがイノベーションを生み出す最大の原動力となります。国際競争に勝ち残るためには、そして国際政治のビッグプレーヤーであるためには、国内の現在の利害調整にとらわれるのでなく、国際的なエコシステムづくりをリードする方向に舵を切らねばなりません。