エリザベス女王でも、TV放映を止めれなかった...？英王室を苦境に陥れた、アンドルー王子の"史上最悪なBBCインタビュー"について
Netflixの新作ドラマ『グレート・スクープ』が話題になっている。同番組は、性的人身売買で有罪判決を受けたジェフリー・エプスタインと交流があったエリザベス女王の次男、アンドルー王子にまつわるストーリーで、当時酷評を買ったBBCでの有名なインタビューを題材にしたドラマだ。 【実際の写真】熱心に何を話している…？世間を揺るがす1枚となった、アンドルー王子＆エプスタインの姿 ドラマの中盤で、アンドルー王子の秘書官であるアマンダ・サースクからインタビューにOKが出たと電話が入る緊張の瞬間がある。 ゴーサインが出るとすぐさま、BBC『ニュースナイト』のエディター、エスメ・レン（俳優：ラモラ・ガライ）はBBCのニュースディレクター、フラン・アンズワース（俳優：リア・ウィリアムズ）と話をしに行く。彼女は「完成後はまず私と会長に見せて」と『ニュースナイト』の女性スタッフたちに言う。会長はトニー・ホール（俳優：アンドリュー・マクビーン）だ。 そしてインタビューがバッキンガム宮殿で録画された直後、会長とフランは、『ニュースナイト』の編集室でエスメと副編集長のスチュワート・マクリーン（俳優：リチャード・ゴールディング）と共にミーティングを行なった。フランはエリザベス女王を指して「彼女は今回のインタビューに男性スタッフを立ち合わせた。そして彼らは、一連の会話をその場で録音した。そうよね？」とたずねる。エスメは「トニー、つまり女王は今回のインタビューをストップさせることもできたのかしら？」と聞く。「まぁ、彼女は女王だからね。彼女がそう言うならば、命令には従わないと」とトニー。 だが、実際にエリザベス女王はアンドルー王子の『ニュースナイト』インタビューに介入して、王室の大ピンチともいえる最悪のインタビューをストップすることができたのだろうか？ その答えは、未だにはっきりと白黒がついてはいない。
BBCとは、英国放送協会（British Broadcasting Corporation）の略称で、1922年に公的資金によって運営される放送ネットワークとして勅許を受けた。CNNによると、BBCは現在も「主にはイギリス各家庭とのライセンス契約金」で成り立っている。 「BBCと王室は約70年間にわたり密接な関係を築いてきました。BBCの初期には同局に対する正当性と信頼、尊厳のイメージを国民に与えるため、番組ではたびたび王室が取り上げられました。また、BBCは王室のイベントを独占的に放送する権利を確立することで、国を代表する機関としての地位を築き上げました。同様にBBCは王室に新たなプラットフォームを与え、君主制の中心的存在となったのです」と、『Running the Family Firm: How the Monarchy Manages its Image』の著者ローラ・クランシー博士は2021年に『Daily Beast』のインタビューで述べている。 これまで、エリザベス女王の21歳のバースデーメッセージや、戴冠式、1961年のロイヤルファミリー初のTVインタビューなど、重要なロイヤルイベントは大体いつもBBCで放送されてきた。 「BBCは国営放送局となり、並外れて優れたジャーナリズムの本拠地であろうとしました。しかし、それらが互いにぶつかり合う時もしばしばありました」と、アンドルー王子のインタビューを行ったジャーナリストのエミリー・メイトリスはドキュメンタリー『Days That Shook the BBC With David Dimbleby』で述べている。「BBCは王室を政治よりも上のものと見なす傾向があり、BBCでは多くの議論がそれを基に進められます」とも加えていた。 アンドルー王子の『ニュースナイト』インタビューをエリザベス女王が承認したかどうかについては、相反する報道がなされている。当時のバッキンガム宮殿のスポークスパーソンは、女王はインタビューのことを「知っていた」だけで承認したとは言わなかった。 Netflixドラマ『グレート・スクープ』の元になった著書『Scoop』で、サム・マカリスターは、「王室がアッサリOKを出すなんて全く予想していなかったし、信じられなかった。当然ある種の法的介入があるのではないか？恐ろしいほど酷いインタビューになると分かったら、王室は当然、ボツにしようとするのではないか？放送前にエスメは法的脅しをかけられるのではないか？会長もそれに関わるのではないか...？とな嫌な可能性がいくつも頭をよぎった。しかし実際には何も起こらず、誰も来なかった」と書いている。 エリザベス女王はアンドルー王子よりも先に、今回のインタビューがどれほど酷いものになるか、おおよそ予測がついていたという。イギリスのチャンネル4のドキュメンタリー『Problem Prince』で、メイトリスは「女王がインタビューの文字起こしを全部読んだのは放送前日の土曜日。ですがその時点で、早くも王子はセキュリティーに関する詳細から省かれていました。女王は今回のインタビューで話された内容とそれがBBCを通して国民に放送されることにより起こるインパクトを、王子よりも先にきちんと理解していたのでしょう」と述べている。 悪名高きこのインタビュー放送から数日後、アンドルー王子は公務を担う王室の高位メンバーから退くこととなった。
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