上司に認められるための効果的な自己評価の書き方
■長々と自己評価を書いても読まれない 多くの企業において、従業員の業績評価を行う季節がやってきた。従業員は、1年間を振り返り、自分が成し遂げたことについて自己評価シートを提出することになる。説得力のある自己評価を書ければ、マネジャーによる評価にも好影響を与えられるだろう。うまくいけば、給料やボーナスも増えるかもしれない。 問題は、マネジャーが直属の部下を大勢抱えている場合、メンバー全員の際立った貢献をそもそも目に留めていなかったり、忘れてしまっていたりする可能性があることだ。しかし、そうかといって、あなたが自己評価シートで自分の過去1年間の成果について長々と書いても、マネジャーはそれにすべて目を通す時間はないだろう。 そこで本稿では、効果的な自己評価を書くための5つのステップを紹介する。このステップに従えば、自分が成し遂げた特に大きな貢献をマネジャーに印象づけると同時に、自分がどのような面で成長したかを記すことを通じて、しっかりした自己認識を持っていると知ってもらう効果も期待できる。 ■1. その年全体に目を向けることを忘れない 直近の数カ月に自分が成し遂げた業績を記憶しておくことは簡単だが、自己評価シートにはそれだけでなく、1年間の成果を盛り込みたい。1年を通じて自分の成果を記録してこなかった人は、スケジュール帳を確認して、出席した会議の記録をチェックしてみよう。自分が関わったプロジェクトを思い返し、自分が加わった重要な会話について記憶を甦らせるのだ。 時間を割いて、すべてのプロジェクトや業務や成果を洗い出し、自己評価シートとは別の文書にまとめてみよう。そうすることにより、自分が1年間に成し遂げた成果の全体像を一覧できるようになり、その中でとりわけ重要なものを選び出すことが可能になる。 ■2. 会社と部署の目標を考慮に入れる どの企業にも会社としての目標がある。そして、会社の目標は、部署ごとの目標に細分化されている(会社によっては、さらにそれを個人ごとの目標に細分化しているケースもある)。自分が行ってきた仕事のうち、一般的な職務上の義務に属するものと、会社なり部署なりの目標達成に直接関わるものがそれぞれどれかを見極めよう。 たとえば、情報のデータベースを維持管理することは、一般的な職務上の義務の範囲内と見なせるかもしれない。ステークホルダーから情報を収集することがいかに骨の折れることだったとしても、これは必ずしも自分の業績とはいえない。しかし、データベースのアップグレードを提案し、それを実行したり、データベースの利用を効率化するための新しいワークフローをつくったりすれば、それは効率性を向上させるという機能上の目標に関わるものと位置づけられるかもしれない。 ■3. 会社の価値観や文化に沿った活動に目を向ける あなたがどのように仕事を行うかは、何を成し遂げるかと同じくらい重要だ。会社や部署の目標に照らして自分の成果を振り返った後は、それらの成果を挙げるに当たり、どれくらい自社の価値観や文化に沿って行動したかを検討しよう。あなたの成果の中で、とりわけ強く、会社の価値観と合致しているものはないだろうか。 たとえば、あなたの会社の価値観の一つが「効率性と有効性を高めるために日々努力する」というものだったとしよう。この場合は、あなたがどのようにして効率性を向上させたかが重要になる。たとえば、このように記せばよい。「いくつもの部署のリーダーたちと主体的にコミュニケーションを取り、ネガティブな影響を受けるステークホルダーたちに働きかけて、新しいワークフローに同調するよう説得しました。それにより、社内の摩擦が過熱することは避けられました」 ■4. 同僚たちにフィードバックを求める 私たちは誰でも、自分の成功や成果にばかり目が行きやすいバイアスを持っている。しかし、マネジャーは、あなたの仕事ぶりについてほかの人たちからもフィードバックを得ようとする。そこで、先回りして、ほかの人たちがマネジャーに伝えることになる内容をあなた自身の自己評価シートに盛り込むとよい。 自分の一つひとつの成果に関して、さまざまな部署のステークホルダーやチームのメンバーに話を聞き、ほかの人たちがどう思っているかを尋ねよう。その際は、前の年の成績評価で「要改善」と位置づけられた領域でどれくらい成長が見られたかを尋ねることも忘れないようにしよう。 たとえば、この1年の間に、大きなプロジェクトを完了させて、何千ドルもの資金を節約したとしよう。そして、前の年の成績評価では、主体的にコミュニケーションを行う姿勢を育むことが「要改善」課題とされていたとする。この場合は、さまざまな部署のステークホルダーからフィードバックを求める際に、あなたとのやり取りでどれくらい主体的にコミュニケーションを取る姿勢を感じたかを尋ねよう。 もし、一人を除いてすべてのステークホルダーがそのプロジェクトにおいてあなたから十分に情報を得られていたと述べているのであれば、「ほとんどのステークホルダーのフィードバックによると、コミュニケーションの仕方を改善しようという努力は実を結んだ」と、自己評価シートに記してかまわない。そして、それに加えて、「残りの一人のステークホルダーとのコミュニケーションを改善すべく、引き続き努力する」と述べればよい。