トラック1万台超が出入りする東京港、慢性的な渋滞緩和へ実証事業…仮置き場にコンテナ集約
東京港のコンテナふ頭に出入りするトラックの渋滞を緩和するため、東京都は今月中旬にも、物流会社や荷主計10社とともに、輸送効率向上に向けた初の大規模実証事業に乗り出す。ふ頭の隣接地に24時間出入り可能な仮置き場を設けて貨物を集約し、交通量の少ない時間帯にふ頭との間で輸送する。ドライバーの負担軽減と排ガス抑制につなげたい考えだ。 【写真】トラックで満車状態となったSA
東京港には品川区や江東区など4か所にコンテナふ頭がある。国土交通省の統計によると、東京港の2023年のコンテナ取扱量は速報値で計457万個(20フィートコンテナ換算)。全国の5分の1を占め、日本一多い。コンテナふ頭を出入りするトラックは1日1万台を超える上、各ふ頭の開場は午前7時半~午後4時半に限られるため、ふ頭周辺では渋滞が常態化している。都トラック協会の調査では、ふ頭周辺の平均待機時間は約2時間、最長で6時間41分に及んだこともあり、渋滞緩和が課題になっていた。
今回の実証事業には、農機大手クボタや自動車大手ホンダなどメーカー6社と物流4社が参加する。大井コンテナふ頭(品川区)の隣接地に年中無休で24時間出入りできる仮置き場を確保。北関東の複数のメーカー工場から出荷された製品を夜間に仮置き場に運び込み、交通量が比較的少ない午前中に仮置き場とふ頭の間を共同利用するトラックでピストン輸送する。
ふ頭を出入りするトラックを減らせ、渋滞緩和につながることが期待される。年内まで実証事業を行い、ドライバーの待ち時間短縮やスムーズな輸送が実現したかどうかを検証する。
国交省によると、横浜や大阪、神戸など各地の主要港湾でもトラックの渋滞は常態化している。今年4月には、時間外労働の上限を規制する働き方改革関連法が、トラックドライバーに適用され、物流業界は人手不足が深刻化する「物流2024年問題」に直面している。都港湾局の担当者は「渋滞を減らせれば、ドライバーはストレスなく快適に働ける。トラックの待ち時間が短くなれば、排ガスの削減もできる」と話している。