【NBA】キャリアの岐路に立つ2024年の八村塁、優勝争いをするレイカーズの不可欠な戦力への『成熟』に期待
身体能力とシュート力を併せ持った貴重なウイング
2023年はデッドラインでレイカーズへトレードされ、プレーオフではカンファレンスファイナルまで進出、そこでの活躍が認められたことでオフに3年総額5100万ドル(約76億円)の契約延長を勝ち取った八村塁は、新シーズンは平均24.4分、12.2得点を記録しています。ベンチから得点力をもたらすウイングとしてチームが求められる役割を果たしているものの、開幕前に『レブロン・ジェームズの代役』と期待されたほどの活躍を見せてはいないのも事実です。 フィジカルとスピードを兼ね備えた身体能力はNBAでも十分に通用する武器ですが、ドライブしてもジャンプシュートの選択を好み、シュートの確率が上がらない課題があります。今シーズンはチームが大型化して速攻に走りやすくなったのを生かし、ゴール下まで侵入してのフィニッシュ回数を増やしています。得点確率の高いシュートが増えているのは良い傾向です。 また、3ポイントシュート成功率は37.3%とアウトサイドのシュートは安定しています。ミドルの選択肢が多い課題は継続しているものの、豪快なダンクでのハイライトプレーから確実なアウトサイドシュートを武器として備えた八村は、身体能力とシュート力を併せ持った貴重なウイングとして高く期待されているのは間違いありません。 ただ、これらのスタッツはウィザーズでの3年目のシーズンでも残しており、チーム戦術へのフィットやディフェンスでのディティールの改善は、特に目立っているわけではありません。『成長』はしていますが『成熟』ができていないことが、ベンチからの出場に留まってチーム内の序列を上げられない理由でもあります。 レブロンやアンソニー・デイビスと同時にコートに立つ選手にはスペーシングの役割が重要になりますが、スターターのトーリアン・プリンスが2.5本、キャメロン・レディッシュが1.7本の3ポイントシュートをコーナーから打っているのに対し、八村の数字は0.8本に留まっており、シュート能力の高さをチームオフェンスの中で有効活用しているとは言い難い状況です。