駅東側再開発本格化 福島県双葉町、避難解除30日で2年 住宅確保が課題
東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、福島県双葉町の特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示解除から30日で2年となる。JR双葉駅東側の再開発が本格化している。スーパーと飲食店を備える商業施設が建設中で、完成後は住民の生活環境の改善、帰還や移住の促進が期待される。 商業施設は町役場新庁舎に隣接する土地と町立体育館跡地に町が整備している。町役場新庁舎隣にはイオンが入り、2025(令和7)年の開店を見込む。町立体育館跡地には飲食店3店舗が入居し、2025年度中にオープンする予定だ。 町内の居住者数は1日現在、135人。少しずつ帰還や移住が進む一方、町民らが住む受け皿の確保が課題となっている。双葉駅西側にある町営の「駅西住宅」は空き部屋が少ないのが現状で、町は今後さらなる住宅整備を検討する。 ■農業再生へ一歩ずつ 復興拠点で野菜栽培 福島市出身、安井ファーム職員 黒津今日子さん 34
石川県の農業生産法人「安井ファーム」職員の黒津今日子さん(34)=福島市出身=は、双葉町の復興拠点で野菜の栽培に汗を流す。「双葉のためにできることを一歩ずつ取り組んでいく」。町内に住み、住民と交流を深めながら町の農業再生を夢見る。 黒津さんは28日、ブロッコリーの苗を植えた。前田地区の農地約70アールを借り、今月からニンジンとキャベツを育て始めた。放射線量など安全を確認した上で、年末から順次出荷する計画だ。 昨年10月に安井ファームの職員となった。浜通りの農業発展のために職員を募集していたのが目にとまり、迷わず申し込んだ。事前に農地を視察し、町民の温かな人柄に触れた。「双葉の力になりたい」と6月に町に移り住み、毎日のように農作業に励む。 現在、町で農業に取り組む農家はわずか。就農者を増やすため、環境が整わない中でも成功を収めると決意する。「双葉に農家が再び集まるよう頑張りたい。双葉産の野菜の安全性を広く伝えていく」と誓う。