元白洲次郎邸の地、アートと自然の調和、北海道、沖縄…多拠点ライフを楽しむ仕事人の邸宅5選【まとめ】
多拠点ライフを楽しみ尽くす仕事人たちの、人生を芳醇にするこだわりの邸宅をまとめて紹介! ※2024年3月号掲載記事を再編。 【写真】多拠点ライフを楽しむ仕事人の邸宅5選
1.奈良美智、名和晃平、花井祐介…アートと自然が調和した、起業家の邸宅を拝見
その家の玄関で客人を出迎えてくれるのは、奈良美智氏の立体作品。大きな窓の前に設置されたこの作品は、ガラスの向こうの木々を背に燦々(さんさん)と太陽光を浴びていた。 「自然を背景に日光が作品を照らす、そんな場所にこれを置いてみたい。奈良さんの作品ありきで、玄関スペースを設計しました。春夏は森の緑、秋は紅葉、冬はちらちら舞う雪が作品の背景になってくれるんですよ」 起業家でアートコレクターの川崎祐一氏はそう話す。奥に進むと、大きなワンフロアに絵画や彫刻が並ぶリビングが現れた。 まず目に入るのが、画家の花井祐介氏がこの家のために描いたという絵画。リスの吹き出し部分に訪れた人が自由な言葉を入れることで、作品が成立する仕組みだ。部屋の奥には、鹿の頭部の剥製を透明の球体で覆った名和晃平氏の「PixCell-Deer」も飾られている。 「僕は、アートって特別なものではないと思っています。友達の家に遊びに行ったら壁に絵がかかっていて、なんとなくいいと感じた。そういう出合いもあると思うんです。日常のなかにアートがあることの心地よさ、それを感じてもらうために僕はこの家を建てました」
2.元白洲次郎邸の地に建つ、ジュエリーブランド創業者の邸宅
軽井沢の森の中、落ち葉のクッションを踏みしめてその邸宅の入り口へと向かう。扉が開くと、ガラス張りの大きな窓から注ぐ太陽光が暖かく迎え入れてくれる。 「ここにいると自然からの学びを得られるんです。私にとって自然は一番の先生ですから、私に新たな学びをくれる、人生の拠点になると思っています」 この邸宅の持ち主、美術家で、ジュエリーブランド、AHKAH(アーカー)の創設者である福王寺朱美氏はそう微笑む。 2023年の春に完成したばかり、全面ガラス張りの2階建ての邸宅は、どこにいても森の木々のゆらめきと、太陽の光を感じることができる。 福王寺氏がこだわったのが、窓の外の木々を絵画のように鑑賞できる窓だ。視界を遮らないよう、窓の外のバルコニーの手すり部分を透明なガラスに、床面は室内と地続きの木板にした。こうすることで森と室内がつながっているような感覚に。さらに天井、柱、ダイニングの棚にいたるまで、多種多様な木材を使用しているため、室内には木ならではのいい香りが微かに漂う。 「AHKAHでは、ジュエリーひとつひとつを自然からインスパイアされてつくってきました。そうしているうちに、もっと自由に作品にしてみたいと思うようになっていき、アートの道へと進んできました」