3連敗で借金「2」を抱えた金本阪神のなぜ?
そのルーキーを打線でカバーすべきだったが、4番のゴメスが3度のチャンスにいずれも三振。ブレーキとなった。9回も満塁で三振した。金本監督も、「(ゴメスが)ずっとブレーキだ。速い球に遅れて、ボールのワンバウンドを振っている。調子が悪い。体を考えてDHで使ったが、どん底じゃないかな」と首をひねる。 前日は11残塁。ロッテの関谷は、社会人出身らしく安定したまとまりはあるが、とりわけ手も足も出ないほどのウイニングショットも一線級のコントロールもあるピッチャーではなかったが、あと1本が出ない。 タイムリー欠乏症を、どう脱出するかは、長いペナントレースでどのチームにとっても永遠の命題ではあるが、金本監督は、「勝負根性というかねえ。力みがあるから(打てないのなら)力みを抜くような努力をしないといけないし、集中力が足りないならば、その集中力をつけなければならない。なぜチャンスで打てないかの原因を自分自身で考えないといけない」と嘆いた。 片岡打撃コーチも、「浮いたフォークを狙えと指示をしていたのだが」と唇を噛む。 打線は打てても3割。所詮、水物だが、打順をいじりすぎているのが気になる。 「固定できるような打線ではないから」と、金本監督は以前語っていたが、対右、対左の変更こそあれど、一度打線を固定してみないと、どう変えればどう効果が出るという打線変更のメリットもわからない。固定された打順にこそ、生まれてくる阿吽のつなぎの意識というものもあるだろう。 本来は打線不振で打順変更という刺激策がとられるものだが、阪神の場合は、逆に打線固定の策を取って、我慢してみるのもひとつの手段ではないだろうか。 チームは、今季最多の借金「2」。ある意味、正念場である。 実は、この試合、坂井オーナーが、わざわざ千葉まで駆けつけて観戦した“御前試合”だった。試合後、坂井オーナーは談話を残さなかったという。こういうときこそ、坂井オーナーは、苦しみながらも若手起用を続ける現場を勇気づけるような談話を残しておくべきだったが、この人にはそういう器量はないようである。プロスポーツの経営トップに座るオーナーとしてのそういうマネジメント能力に著しく欠ける。これがソフトバンクの孫オーナーならば応援メッセージは残して球場を去る。 金本監督を次期監督に選んだ決断には敬意を表するが、こういう最高トップの態度を見ていると、いつまで現場がぶれない戦いを続けることができるのか、も不安になる。ファンも含めて、今現在、多くの人が金本監督の「超変革」に共鳴しているのだから、オーナーがわざわざ現場に足を運ぶ意味が、どういうものかを自覚すべきである。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)