教員「残業代」巡り調整難航…財務省「働き方改革したら最大10%」、文科省「来年度から13%」
財務省は11日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の部会を開き、公立学校教員の給与の改革案を示した。残業代の代わりに一律支給されている「教職調整額」について、働き方改革が進んだ場合に増やす仕組みを導入し、5年程度かけて現在の4%から10%への段階的な引き上げを目指す。文部科学省は2025年度の途中から13%に引き上げるよう求めており、調整は難航している。
公立学校教員は、1971年制定の教員給与特別措置法で、基本給の4%分が教職調整額として支給されている。4%は、施行前の66年時点で月8時間程度だった残業時間に基づく。文科省の2022年度の調査では、教員の平均残業時間は小学校で月41時間、中学校では月58時間と推計され、制度設計から半世紀以上を経て、実態とは隔たりがある。
文科省は、教員の処遇を改善してなり手不足を解消するため、25年度予算の概算要求で13%に引き上げるよう求めている。
財務省は、部会で「13%は月26時間の残業時間に相当し、中央教育審議会が示した月20時間に縮減するとの目標との整合性に欠ける」などと指摘。教員全体の平均残業時間を減らすなど働き方改革を進めた場合は、翌年度に調整額を引き上げるとした対案を示した。改革が進めば、調整額は30年度に10%に達する。それ以降は、一律支給ではなく、時間外勤務に応じた「残業手当」に移行することも視野に入れる。委員からは「調整額の引き上げを残業時間縮減の動機付けとするのは非常に良い」など、賛同意見が相次いだ。
一方、文科省は財務省案に対し、「学校教育の質の低下につながる」とする反論文書を近く公表する方針だ。文書では「いじめや暴力行為への対応が多く発生し、残業時間を減らすのが容易ではない学校や地域もある」などと主張している。