【オーストラリア】【農業通信】チームオーストラリアで輸出拡大! 在日オーストラリア大使館商務参事官インタビュー
東京ビッグサイトで3月5日~8日にアジア最大級の国際食品・飲料展「FOODEX JAPAN 2024」が開催され、オーストラリアは州政府や業界団体、企業など約130社・団体が「チームオーストラリア」として集結した。昨年よりも出展面積を40%増にして挑んだチームオーストラリアを率いる在日オーストラリア大使館商務参事官のマレイ・スペンス氏(オーストラリア貿易投資促進庁)に、出展の意図やオーストラリア産食品の日本でのポジショニング、今後の活動について話を聞いた。【オセアニア農業専門誌ウェルス編集部】 ――出展の狙いは? 輸出拡大を目指す上で、FOODEXへの出展が必須と考えています。今回は「サステナブルな生産」「イノベーション」「ヘルス&ウェルネス」をテーマとしており、テーマに沿った出展者を公募(EOI)で集めて選定しています。 オーストラリア産食品のブランディングをする狙いもあります。 ――オーストラリア産食品の強みはどこにありますか 今回のテーマでもある「サステナブルな生産」「イノベーション」「ヘルス&ウェルネス」は日本市場でも受け入れられると思います。公募で集まってくる会社でこれらに当てはまらないものは日本市場では厳しいと伝えることもあります。 日本の消費者が抱くオーストラリア産のイメージは「清潔さ(Clean)」や「環境への配慮(Green)」「安全性(Safety)」です。日本の消費者はプレミアム価格であっても、安全、安心、健康的であることを求めるため、オーストラリア産を選んでもらえていると思います。 ――オーストラリア産食品を日本に輸出するに当たり、どんな課題がありますか 例えばオーストラリアは牛乳やチーズ、小麦粉などの原材料を多く輸出していますが、原材料は食品メーカーの原料調達の一部に組み込まれるため、価格競争に直面しています。 一方完成品になると、オーストラリアの生産コストが高いため、どうしても割高になります。人件費は最低賃金が日本より高いですから。そのため、差別化してプレミアム価格帯で販売することが必要です。 また、オーストラリアではインフレが進んでいますが、現在は円安が続いているため、価格面では厳しい状況です。 ――日本市場では今後どこに機会があると考えていますか 日本はこれからも重要な市場であることに変わりはなく、自給率38%(カロリーベース)以外の部分でオーストラリア産のシェアを拡大していくことが目標です。 これからもっと伸びると思うのが、オーストラリア産のワインやウイスキー、スピリッツ、RTD(ふたを開けてすぐに飲める酒類)などのアルコール類やオーガニックビーフです。オーストラリアはオーガニックの生産も盛んに行われており、まだまだ日本でPRできる余地があると思います。 ――オーストレードの今後の活動について教えてください オーストラリア産食品の普及サポートは小売りフェアなどを支援したり、オーストラリア食肉家畜生産者事業団(MLA)、酪農業界団体デアリーオーストラリア、連邦政府機関ワイン・オーストラリアなどの産業団体とも協力しながら行っています。 2025年4月から6カ月間続く大阪万博を一つのマイルストーンと捉えており、計画を始めています。また、日本に未入荷のワインのサポートにも力を入れており、ワイン&スピリッツ専門誌「ウォンズ」とのタイアップ企画でワインソムリエによるワインコンテストやワインの輸入業者向けの試飲イベントを開催しています。(聞き手=米山亜里砂)