溺れた中学生を助けようと…24歳消防士、救助かなわず殉職 53年前の水難事故、後輩ら思い新た「職務の遂行に全霊。遺志を受け継ぐ」 出水
53年前、鹿児島県出水市の米之津川で溺れた中学生を助けようとして殉職した男性消防職員の慰霊碑を23日、市消防本部の職員23人が参拝した。故人の冥福を祈り水難事故を繰り返さないと思いを新たにした。 【写真】戸崎和弘さん
男性は戸崎和弘さん=享年24歳。消防本部や当時の新聞によると、1971(昭和46)年8月24日、米之津川で中学生が行方不明となった。戸崎さんは現場に急行して救助しようとしたものの、2人とも助からなかった。 現場は戸崎さんの自宅近くで、幼少期から付近でよく泳いでいたという。人一倍水泳が好きでスポーツ万能、文武両道、責任感が強かった。階級は殉職により、消防士から消防司令補に特別昇任。市職員ら有志が1年後、国道447号と米之津川の間に慰霊碑を建立し、後輩たちは命日に合わせ毎年参拝する。 今年は21日、慰霊碑や一帯を清掃。2日後の23日に献花して黙とう、手を合わせた。親戚に当たる戸崎博貴消防長(56)は当時3歳で、父親に連れられて救助活動を見守ったという。訓示で「尊い命を守るため、強い使命感と責任感を持ち職務の遂行に全霊をささげた姿は、消防の誇り。遺志を受け継ぎ、市民の命と平和な暮らしを守り抜く」と誓った。
南日本新聞 | 鹿児島
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