台湾がリトアニアなどとドローン協力覚書を締結。無人機技術・産業競争力で連携模索する理由とは
バルト3国のリトアニアの首都ビリニュスで11月21日、「ドローン産業ビジネスフォーラム」が開催され、これに出席した台湾のドローン産業代表団は、リトアニアとのドローン産業協力や投資などを促す2件の協力覚書に署名した。ドローン技術力や国際競争力の向上などが狙いで、台湾側は林佳龍外交部長(外相に相当)らも臨席し、関連産業育成に力を入れる台湾側の強い姿勢をアピールした。 【全画像をみる】台湾がリトアニアなどとドローン協力覚書を締結。無人機技術・産業競争力で連携模索する理由とは 覚書を交わしたのは、台湾側は「台湾卓越無人機海外商機連盟」などで、これらを代表する航空機製造・漢翔航空工業(AIDC)の胡開宏董事長(会長)がリトアニアの国防・安全産業協会と協力体制の設置や投資を促進する2件の覚書を交わした。台湾の各メディアが報じた。 台湾代表団はこれに先立つ11月19日にも、バルト3国のラトビアの首都リガで、「台湾・ラトビア・エストニア・ビジネスマッチング商談会」に出席し、やはり胡開宏氏がラトビア国防・安全保障産業連盟(FSDI)との間で同様の協力覚書を交わしていた。 今年5月20日に発足した台湾の頼清徳政権は、成長戦略として世界のシェアの9割を占める台湾の先端半導体技術をはじめ、「宇宙での競争と海洋の開拓」なども掲げ、台湾を無人機(ドローン)の「民主的サプライチェーン」の中心にすることを標榜。 さらに中低軌道の次世代通信衛星開発などで世界の宇宙産業に参入する目標や、海洋科学技術の研究にも投資し、海洋産業の発展促進や競争力強化に取り組む姿勢などを強調しており、ドローンは半導体に次ぐ重点産業と目されている。 また米国防総省の国防安全保障協力庁(DSCA)は今年6月、台湾に小型の武装ドローン(無人機)計1000機以上を売却することを承認したと発表している。 その内訳は自爆型ドローンの「スイッチブレード300」720機と付属システムが6020万ドル(約95億円)、「アルティウス600 M」291機と付属部品が3億ドル(460億円)。 一方、2004年3月に北大西洋条約機構(NATO)に加盟したバルト3国もドローン技術の開発に積極的で、ロシアのウクライナ侵攻に対しウクライナがドローン兵器で効果的に対応している背景も踏まえ、今回の台湾のドローン産業代表団派遣は、「バルト三国や中東欧諸国との実質的な協力を深め、無人機(ドローン)に『民主的サプライチェーン』の中心になろうとする強い意思表示」(外交部)であり、情報通信技術や半導体における優位性などから「台湾はバルト3国にとって信頼できるパートナーとなり得る」と目されている。
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