国内景気は業界・地域で「二極化」傾向が鮮明 ～インバウンド拡大などで「旅館・ホテル」は過去最高～
TDB景気動向調査（全国）― 2023年11月調査 ―
帝国データバンクが2023年11月の国内景気に関する調査を実施したところ、景気DIは前月比0.1ポイント増の44.8となり、2カ月連続で改善しました。 11月は、円安傾向の一服感や日経平均株価の一時バブル崩壊後の高値更新など、金融市場が安定的に推移したなか、大型公共工事を含む建設需要の盛り上がりが幅広い業種へと波及しました。また自動車生産が堅調だったほか、インバウンドなどによる宿泊需要の増加もプラス要因でした。 他方、人手不足は引き続き半数を超える企業でみられているほか、中・小規模企業における個人消費関連の弱さは景況感の下押し材料となりました。
4業界30業種が改善、自動車関連や宿泊需要が景気を下支え
業界別では、堅調な自動車関連や宿泊需要が下支えし、4業界30業種で改善しました。加えて、全国各地で建設需要が盛り上がり、幅広い業種へと波及する結果となりました。他方、人手不足や仕入れ価格の高止まりなど構造的なマイナス材料は下押し要因としてあげられ、業界間で景況感にバラツキが表れています。 『製造』（41.6）は2カ月連続で改善しました。自動車や半導体関連が順調といった声がある「電気機械製造」は5カ月ぶりに改善したほか、「化学品製造」は「季節品である総合感冒薬などが売れ筋」（医薬品製剤製造）などの声もあり2カ月連続で上向きました。 他方、資材価格の高騰や中国経済の減退を影響にあげる声のほか、業界全体が厳しいといった意見も散見された「機械製造」は4カ月連続で下落、前年同月比では5ポイント以上の大幅悪化となっています。 また、『サービス』（50.8）は前月比横ばいとなりました。「子どもの減少や、従業員確保にともない賃金が高騰」（個人教授所）といった声があがる「教育サービス」は2カ月連続で悪化しています。「情報サービス」は「インボイス対応・電帳法対応が一段落し若干案件に空白な期間ができた」（ソフト受託開発）などの声が聞かれ、2カ月ぶりに悪化しました。 他方、好調なインバウンド需要に加え、ビジネスでの宿泊需要がプラス材料の「旅館・ホテル」は3カ月連続で改善、7カ月ぶりに60台に達し過去最高を更新しました。「ホテルの稼働率が上がり、清掃の仕事が増加」（ビルメンテナンス）というように「メンテナンス・警備・検査」は2カ月ぶりの改善となっています。
