「フォローアップミルクなどのミルク製品は大半の子どもに不要」米国小児科学会
米国小児科学会は、生後6カ月~3歳頃までの乳幼児用に販売されているOIYCF(年長乳幼児用ミルク)について、「栄養面で不完全」として大半の子どもには不要だとする見解を改めて示しました。この内容について武井医師に伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
米国小児科学会が示した見解とは?
編集部: 今回、米国小児科学会が示した内容について教えてください。 武井先生: 2023年10月20日、米国小児科学会のHP上で赤ちゃん用の粉ミルクの摂取についての見解が発表されました。発表の冒頭で米国小児科学会は、「生後6~36カ月の高月齢の乳幼児を対象とした粉ミルクカテゴリーがここ数年で注目されるようになった。しかし、名称や組成が標準化されておらず、販売方法にも疑問がある」と提示した上で、「小児期の十分な栄養を確保する上でこれらの飲料が果たす役割の一部については、不確実性や誤解がある」としています。 米国小児科学会は栄養面について、「医療用または治療用ミルクは、慢性胃腸疾患、代謝障害、食物アレルギーなどの様々な症状に適応するが、OIYCFとは異なるものである」と明記しています。また、「標準的な乳児用ミルクとは異なり、FDA(アメリカ食品医薬品局)はOIYCFの明確なカテゴリーを設けておらず、12カ月以上の子ども用ミルクの組成や定義に関するアメリカの国家基準、国際的な統一基準もない」と問題点を指摘しています。 その上で、米国小児科学会は「ほとんどの小児において、母乳もしくは牛乳を含むバランスのとれた食事と比較してOIYCFに栄養学的な利点はない」とし、メーカーに対しては「製品を栄養学的に利点があるように宣伝すべきではない」と訴えています。また、「健康診断の一環として、医療チームが家族に対してOIYCFについての教育することが奨励される」と記述しています。