【高校野球】東海大札幌が10年ぶりセンバツ出場へ…現校名では初…決勝は4番・太田勝馬が2ランで先制
◆第77回秋季全道高校野球大会 ▽決勝 東海大札幌2―0北海(24日・プレド) 決勝が行われ、東海大札幌が北海に2―0で勝利し、10年ぶり6度目の優勝を果たした。4回に4番・太田勝馬一塁手(2年)の2ランで先制すると、矢吹太寛(たお、2年)、高橋英汰(2年)の左右ダブルエースが完封リレーでリードを守り切った。8月に就任した遠藤愛義(なるよし)監督(40)は“無敗”で頂点まで駆け上がり、2016年に東海大四から校名変更後、初のセンバツ出場を確実にした。 思わず涙がこぼれた。学校の事情で急きょベンチ入りした大脇英徳前監督の隣で掲揚される校旗を見つめながら、目頭を押さえた東海大札幌・遠藤監督。就任後8連勝で初タイトルを手にし、「大脇先生と優勝できたことがうれしい。お礼も言い切れないくらい多くの方に見守っていただいたので、ちょっと恩返しできたかな」と目を真っ赤にして10年ぶりの優勝を喜んだ。 就任して約3か月。貫いてきた「攻め」の姿勢が大一番でも発揮された。両チーム無得点の4回1死二塁。太田勝馬は初球のスライダーを捉え、レフトポール直撃の決勝弾。「見る、待つという言葉は心を下げていく。(初球スイングは)一番大事」という教えを主砲が忠実に体現し、大会を通して徹底してきたファーストストライクを見逃さずに一振りで仕留めてみせた。 現役時代は東海大相模でプレーした遠藤監督。高校の恩師で、4度の全国制覇を誇る門馬敬治監督(現創志学園監督)仕込みの観察眼で選手を見極め、今秋は地区から8試合で7通りのオーダーを採用した。日頃から選手との対話を重視する指揮官は、試合当日朝の表情、仕草を見て直感でスタメンを決める“門馬流”を踏襲。「固定概念を持ってはいけない」と全18選手に先発出場の機会を与え、総力戦で次々に強敵を打ち破った。 北海道での指導を決めた際、妻・あかりさんにプロポーズし、強い決意でコーチを務めていた母校を離れた遠藤監督。愛妻の支えもあり、赴任2年目で準優勝した15年以来のセンバツ出場を確実にした。「地に足をつけて、チーム内の競争を仕掛けていきたい」。東海大相模、東海大菅生の指導者としても聖地を経験した“甲子園請負人”監督とともに、「東海大札幌」として臨む初の甲子園に向けて「攻め」の野球を磨いていく。(島山 知房) **** 雪辱を果たした。9回2死。「去年の決勝は自分で負けた。この試合は自分で勝つ」と東海大札幌・矢吹は最後の打者を投ゴロに打ち取った。自らの足で一塁ベースを踏み、歓喜の輪に加わった。 北海と対戦した昨秋決勝は、延長10回に矢吹が決勝点を献上するなど最大4点リードを逆転され、センバツ出場を逃した。それから1年後、願ってもないリベンジの機会に先発を任された左腕は5回まで3安打無失点。「最後は(監督が)信じてるぞと言ってくれたので、それに応えるようにいつも通りやることを心掛けた」と再びマウンドに上がった9回を3人で締め、優勝投手となった。 ○…北海の連覇はならなかった。東海大札幌と同じ7安打は放つも、あと1本が出ず、2投手の前に無得点に抑えられた。昨年のリベンジを果たされ、平川敦監督(53)は「力負けというしかない」と口にした。この試合でも2~5番打者を1年生が務める現状も踏まえ、2安打と奮闘した斎藤爽太右翼手(2年)は「1年生に頼ってる部分が多かった。2年生が中心になって引っ張っていかないと」と強調。敗戦を糧に、来年へ向けて底上げを図っていく。
報知新聞社