同僚の宮城もうらやむ必殺球 オリックス・曽谷龍平の力投支えた右打者殺しの球種とは
今季5位に沈んだオリックスにおいて、明るい未来を予感させたのが曽谷龍平投手(23)だ。今季チームトップタイの7勝を挙げ、規定投球回には未達ながら119イニングを消化。防御率2・34と、先発ローテの一員として奮闘した。 MAX153キロの直球とともにプロ2年目左腕の力投を支えた武器が、今季の被打率・168(共同通信プロ野球データシステム『翼』調べ)を誇った切れ味抜群のスライダーだ。変化量の大きな“スラーブ”で、右打者の内角を大胆に突くことができるのが大きな特徴。エース左腕の宮城も、「僕は(打者の)足に当たることが多くて、それを意識して甘く入って打たれることがある。(曽谷は)右打者の内へスライダーを投げきって勝負できているので、僕も欲しい」とうらやむ技術を誇る。 曽谷自身、「スライダーの切れは昔から自信があった」一方で、「コントロールの仕方がちゃんと分かったのは今年から」だという。ルーキーだった昨季、1軍同行中に厚沢投手コーチからかけられた一言が始まりだった。「“自分の武器を扱えるようにしよう”と言われて。投げる意識であったり、こういう感覚で放ってみたらいいんちゃうかみたいなことをやっていったら、どんどん良くなっていった」。地道に鍛練を重ねた結果、死球を与える恐怖感も「怖さはないです。ビビっていたら投げられないので」と振り払い、必殺球としての磨きをかけた。 シーズン途中に痛めていた右手有鉤(ゆうこう)骨の摘出術を10月2日に受け、先週末にキャッチボールを再開。12月中のブルペンでの立ち投げを視野に入れ、来春のキャンプにも「全然間に合います」と拳を握った。さらなる飛躍を期す来季へ、課題も明確に自認する。「やっぱり無駄球を少なくしないと、長いイニングを投げられない。宮城とか見ても無駄球はないですし。そこは今年感じたところ」。先発陣の柱へ、確かな歩みを進める。 (記者コラム・阪井 日向)