ヤクルト・武岡龍世とサンタナの関係性 まるでミンゴ先生!? 授業のような会話から考え方を吸収
【球界ここだけの話】 身ぶり手ぶりを交えてコミュニケーションを取り、野球談議に花を咲かせる。そこに言語の壁なんてない。ヤクルトの5年目、武岡龍世内野手(23)は、試合前や練習中に来日4年目の助っ人砲、ドミンゴ・サンタナ外野手(31)とよく言葉を交わしている。 【写真】本塁打のホセ・オスナを出迎えるサンタナや武岡龍世。武岡にとってのよき〝先生〟だ 話題の中心は打撃だという。「一番、打っている選手なので」と、リーグトップの打率・313(6月26日現在)を誇る右打者から、技術や打席での心構えを吸収している。気になる言語は、英語かと聞くと、「そんなわけ(ない)」と謙遜したが、「でも、2人のときは軽く。知っている単語を並べるくらいで」と英語を使っている。 左打者の武岡は、右打ちと左打ちで異なるが、サンタナが実践する「手首を返さないスイング」を目指しているという。「どういう感じで打っているの?」「打席ではどう考えているの?」。武岡から積極的に質問するのはもちろんのこと、ときには〝ミンゴ先生〟が登場し、まるで授業のように、カウントごとの考え方などが、問題として出題されることもある。 「打席でこういう場面になったらどうする?」 自身の考えを伝えると、「それは違うかな」「それはまぁまぁかな」と〝採点〟され、最後はサンタナの考えを教えてくれるという。 〝ミンゴ先生〟の授業を通して武岡は「チャンスで緊張しなくなった」と証言する。ことあるごとに、「冷静にいけよ」と声をかけてくれるといい「僕はチャンスでパーッと入り込むタイプだったけど、落ち着くようにずっと意識している」と心構えが変化した。 その成果が表れた場面がある。6月16日のオリックス戦(京セラ)だ。4-4の九回2死二塁から右翼線へ決勝の適時二塁打を放ってヒーローとなった。試合後の取材で武岡は「ネクスト(バッターズサークル)でパッとベンチを見たら、ミンゴが力抜けよ、リラックス、リラックスってやってくれていて、それで緊張がほぐれた」と裏話を明かして感謝した。 開幕直後は苦しんできたが、6月は9試合の出場で打率・357、長打率・643と上向きだ。「ミンゴに『一年間、試合に出続けたら、ホームラン20発は打てるよ』といってもらったこともある。自信になった」と笑う武岡。成長曲線を描く23歳が、〝ミンゴ先生〟から学び、さらなる進化を遂げる。(武田千怜)