深海に潜む未知の生物を新発見。それはあの仲間でした
研究者のコメント「SF映画のような生態」がその通りすぎる。 バハマ諸島で新種の深海等脚類が見つかりました。Booralana nickorumとの学術名が付けられています。等脚類スナホリムシ科に分類されるとのことですので、ニュースにもよく出てくるダイオウグソクムシの仲間ってことですね。 【全画像をみる】深海に潜む未知の生物を新発見。それはあの仲間でした
この種ではとても小さい
Booralana nickorumは、陸上で言うならダンゴムシのいとこ、となります。小指ほどの長さのBooralana nickorumは、バハマの首都ナッソーの南東エクスマ湾の深海548mで発見されました。この新種についての研究論文はZootaxa誌に掲載されています。 ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校の生態学者Oliver Shipley氏は「この深海には海藻やマングローブなどいろいろなものが押し流されてたどり着いてきます。でもそういったものは深海にとって非常に重要なのです。なぜならエネルギーが多くあればあるほど、その下にはもっと高いレベルの生物多様性が存在する可能性が高くなるからです」と米ギズモードの取材に答えています。 2019年にバハマのエルーセラ岬研究所と海洋探査の団体OceanXがおこなった潜水で回収されたBooralana nickorum。この種は、最大の等脚類であるダイオウグソクムシよりも随分小さく、体長はたった5.5センチだそうです。ちなみにダイオウグソクムシは30.5センチ以上に成長します。
深海はSF映画の世界
チームは遺伝子解析をおこなっていませんが、物理的特性を調査し、これが独自の種であることを確認しています。 この種はおそらく、生息地であるエクスマ湾の深海では、エクスマ湾の斜面が台所の流しのようになっていて、有機物の残骸が滑り落ちてくるため、それを食べているのではないかとのことです。 Shipley氏は、等脚類の生息地は「SF映画に出てくるような感じだった」と述べています。 Shipley氏は「カリブ海の深海生態系の研究は非常に不十分なままです。なので新発見の可能性はものすごく高いのです」と語っています。 実際、深海にはまだまだ隠れた生命で溢れていると言われています。ただ問題は、人間の活動が迫りつつある中で、未知の生物たちがこれまで通り生きていられるかというところでもあります。
岩田リョウコ