いつでも死ねる… 南こうせつさんが“伝説”復活にかける思い
「神田川」をはじめ数々の名曲を歌い続けるフォークシンガー、南こうせつさん(75)。今年デビュー55年目を迎え、思い出の地・武道館で伝説のイベントを復活させる。「ラスト」と位置づけるイベントを前に、「いつでも死ねますね」と語る心境に迫った。 【写真でたっぷり】南こうせつさんが果たす「またね」の約束 1970年にデビューし、歌手活動を続ける南さん。フォークグループ「かぐや姫」時代の73年には「神田川」を大ヒットさせ、解散後も「夏の少女」「夢一夜」などヒット曲を世に放った。 30代の南さんが力を入れたのが、今も「伝説」と呼ばれるオールナイトの野外コンサート「サマーピクニック」だ。81年から10年連続で開き、その後も4回の復活公演を行った。 南さんは今年9月、「ラストサマーピクニックin武道館」を開催し、伝説を再びよみがえらせる。「もうここだけが目標というくらい本当に楽しみ」と心を躍らせている。 これまで14回のサマーピクニックはいずれも野外だったが、今回は最初にして最後の屋内開催となる。「天候だけは当日にならないと分からないリスクがあって、胃が痛いから、屋根のあるところを提案した」と笑う。 ただ、それだけが理由ではない。南さんは76年、日本人シンガー・ソングライターとして初のソロコンサートを武道館で行った。「縁があり、自分の一区切りを付けるには良い」と思ったことも、“最後の夏”の舞台に武道館を選んだ理由だ。 今回はシンガー・ソングライターのさだまさしさん(72)と森山良子さん(76)をゲストに迎える。「一緒に時代を生きてきたお二人に声をかけました」と南さん。2人の印象を尋ねると、「さださんはクラシックを学んでいるからか、メロディーがすごく奇麗」。森山さんについては「僕がデビューする前から『フォークの女王』と言われていた。いまだに(曲の)キーを変えないで歌えるのはすごい」と絶賛する。 そういう南さんもキーは昔のままだ。「ギリギリですけど」と謙遜しつつ、「キーが保てるうちに(最後のサマーピクニックを)やっておきたいというのもあります」と話す。 歌と共に歩んだ55年。しみじみと「歌ってすごいですねえ」と振り返る。「歌を通じていろんな人に出会えたし、いろんな町に行けた。メロディーとともに(歌は)私の人生を彩ってくれた。死ぬ時はいつでも死ねますね」 公演は東京・日本武道館で、9月23日午後5時開演。問い合わせはキョードー東京(0570・550・799)。【西本龍太朗】