『ブギウギ』CPが明かす、足立紳&櫻井剛の“脚本2人体制”の意義 “六郎の亀”の裏設定も
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』が現在放送中。“ブギの女王”と呼ばれる笠置シヅ子をモデルに、大阪の銭湯の看板娘・花田鈴子=福来スズ子(趣里)が戦後のスターへと上り詰めていく姿を描く。 【写真】再登場となったキヌ(中越典子) スズ子のアメリカ公演に向けた葛藤にはじまり、愛子とのしばしの別れ、新居への引っ越し、梅吉(柳葉敏郎)の旅立ちと、激動の展開となった第23週。第111話では、スズ子が生みの親であるキヌ(中越典子)と久々に顔を合わせ、穏やかに会話を交わす姿が描かれた。 制作統括の福岡利武は「中越さんはずいぶん間が空いての登場でしたので、ご本人もすごく心配されていましたが、しっかりと演じていただけました。セリフでは『許す許さない』といったことは語られていませんが、“親子の出発”とも取れるようなシーンになってよかったと思います」と語る。 梅吉の死をきっかけとしたキヌとの再会。この展開については「強く意識していたわけではない」とした上で、「梅吉さんの死はしっかりと描きたいと思っていましたし、やはり香川に来ているということで、このタイミングでキヌさんとの関係も描けたらと。スズ子には“育ての親が本当の両親である”という思いを遂げたい、との気持ちがあったので、梅吉さんとのやり取りで(キヌのことを)『マミーのマミーや』と言える感情まで持っていくことが大事かなと考えていました」と説明する。 ロケ地となったのは、第5週で自身の出生の秘密を知ったスズ子が一心不乱に走った松林。福岡はこの場所にこだわって今回の撮影地を決めたといい、「趣里さんも『私が走ったところですね』とおっしゃっていました」と振り返る。さらには「趣里さんと中越さんは一緒に温かいものを飲みながら、仲良くお話しされていました」と、2人がしっかりと関係性を築いた上での撮影だったことを明かした。 また第23週では、スズ子の弟・六郎(黒崎煌代)がかわいがっていた亀が再登場。そんな亀を愛子(小野美音)が気に入り、梅吉に写真撮影をしてもらうシーンも印象的だった。福岡は「本当に叔父さんと姪っ子のように見えて泣けました」と本音をこぼし、「視聴者の方にも少しでもそう感じていただけたら嬉しいなと。押し付けがましい作品にはしたくないので、自然なかたちで家族の物語になっていたら」と期待を込める。 第111話では、東京へ戻る愛子が亀を連れて帰るかと思われたが、意外にも亀はそのまま香川に残ることに。これによって、スズ子が以前、キヌから渡された金の時計を愛子へ引き継ぐ展開へとつながっていく。 「金の時計については、どうするべきかと議論を重ねてきましたが、脚本の足立(紳)さんは『愛子に渡したい』と強く思っていらっしゃったので、ここがいいきっかけじゃないかと。亀を連れて帰ってきてしまうと、そこへの思いも描いていかなくてはいけなくなりますし、ドラマとしては香川に思いを残しておく、というほうがいいのではないかと思いました」 気になるのは、あの亀は最初に登場した亀と同じ亀なのか、ということ。福岡は「六郎が子役時代の亀は、小さめの亀なんです。ですが、黒崎さんが六郎を演じるようになってからは大きめの亀になっていて、今回登場したのは大きめの亀です」と明かした。 『ブギウギ』の放送は、残すところあと3週。朝ドラの脚本を2人体制で担当する場合、あくまで“サポート”というかたちが多い中、今回は足立紳と櫻井剛の両輪で脚本を制作してきた。 福岡は「本当にやってよかった」とし、「ステージの準備に時間がかかるので、台本を早く書き上げなければいけないといった事情もありましたが、いい意味で(脚本家交代時の)境目はあまり感じなかったのではないかと思います。長い話ですし、お互いに刺激し合えるという面でも、脚本家が複数人いるのはいいことなんじゃないかなと思いました」と私見を述べる。 なお、ここから最終回までは、すべて足立が脚本を担当。次週予告では、羽鳥善一(草彅剛)の「作曲二千曲記念ビッグパーティー」に、愛子の誘拐騒動とまだまだ波乱の展開が続きそう。これまでにも遊び心あふれる物語を描いてきた足立が、終盤に向けてどのような仕掛けを用意しているのか、ますます楽しみになってきた。
nakamura omame