ドジャース・山本由伸

【球界ここだけの話】「ミスター・オクトーバー」の気遣いで自分自身を取り戻した。米大リーグ、ドジャースの山本由伸投手（26）は地区シリーズ、パドレスとの第1戦に先発起用されるも3回5安打5失点と精彩を欠いた。失意の中、親身に声をかけてくれた一人がエンリケ・ヘルナンデス内野手（33）だった。 【写真】オリックス時代の同僚がドジャースタジアムを訪問。練習後には談笑し、旧交を温めた 第5戦で5回無失点と好投した山本はシャンパンファイトで髪をぬらした会見場で「もちろんすぐには簡単には切り替えられなかったですけど、チームメートの方がたくさん声をかけてくれましたし、サンディエゴにいったときもキケ（E・ヘルナンデス）が誘ってくれて2時間くらいカフェで話をしたり、チームメートのおかげです」と明かした。 第1戦の降板後に「サンディエゴに行ったらちょっと話をしよう」と誘われたといい、「技術的なところもそうですし、プレーオフに向けての心構えといいますか、そういったところも話していただきました。とにかく『チームメートがついているから』と。そういう声掛けをしていただきました」と決して長くない登板間隔の早い段階で気持ちを切り替えられたという。 E・ヘルナンデスはメジャー11年間でPSに9度出場し、81試合で15本塁打、34打点。ポストシーズンで存在感を放つ選手はメジャーで「ミスター・オクトーバー」などと呼ばれる。ロバーツ監督に「彼を獲得したのは10月に11試合勝つ（ワールドシリーズ優勝する）ため」と言わしめるほどだ。メジャー1年目でPS初戦の先発を任された山本の重圧を考慮すれば、10月を知る男の助言が与えた影響は計り知れない。 リーグ優勝決定シリーズ第4戦でも五回途中4安打2失点、8奪三振と力投。その試合後にも「早い展開から救援の方が出てきてくれてきょうも抑えてもらえた。すごく助かりました」と仲間への感謝が口をついた。「一発勝負になる試合が多く、油断することなく1球1球投球しています」と山本。PS男の存在で挫折を乗り越え、ドジャースの宿命であるワールドシリーズ制覇まで駆け抜ける。（横山尚杜）