「注文する人、オーガニック好き」山から湖へ流れる軟水、地下25メートルから採取
坂井紗智子さん（46）は、ミネラルウォーター「比良水」を製造販売する「江洲比良の水」（大津市北比良）の社長を務める。 廃業した業者の採水施設を、母が受け継いで設立した。一緒に事業を始め、2年前に社長の職を引き継いだ。 地下25メートルから採取する水はまろやかな軟水。「自然豊かな比良山系から琵琶湖に流れる水を拝借している。非加熱で、フィルターでろ過するだけ。私も日々飲んでいますが、飲みやすいです」と説明する。 近くの道の駅などでペットボトルに詰めて販売しているほか、県内や京都府南部でウオーターサーバー用のボトルを定期配達している。 オーガニック食品や自然由来で環境に優しい商品などを販売する「日用品の店ヒラスイ」も営む。「水を注文する人にはオーガニックが好きな人が多い。一緒に配達することで喜ばれています」 採水施設前には、かわいらしい店舗も構え、商品が所狭しと並んでいる。地元の農家が育てた古代米や猟師が作ったペット用ジャーキーなど、水と同様に滋賀の豊かな自然を感じられる品も。「若い頃に過労で不整脈になってから食べ物に関心を持つようになりました。日常生活に気を使うようになると、環境にも関心が出てきて。生き方を考え始めました」と振り返る。 大津市北部の地域散策イベントを開催する市民団体「かんじる比良の会」の代表も務める。「この地域の環境が良いことを広く知らせる催し。個性的な移住者がお店を開き、以前から暮らしている住民も面白がって迎え入れてくれている」。今後も魅力を発信し、新旧の住民をつなぐ運営を続けていくつもりだ。
