ドーハ世陸100mで本気出さず10秒09で予選通過のサニブラウンは日本人初のファイナリストになれるのか?
4年前の北京世界陸上では16歳で200mの準決勝に進出、2年前のロンドン世界陸上ではウサイン・ボルトの記録を塗り替える18歳5か月で最年少ファイナリストに輝いた。 これまでの世界陸上と気持ちの違いを尋ねられると、「何も感じなくなってきたのが怖いですよね。普通の大会みたい。でも、決勝に行けば緊張すると思うので、そこは問題ない。こういうところで緊張しないでケアレスミスで落ちるのはしょうもないことなので、集中していくことが大切なのかな」と答えた。 「予選は60mぐらいで横を見て、アーッという感じでした。中盤は準決勝でもう一段階刻めればなと思うところです。明日からは小さなミスで勝負がつくと思うので、しっかり集中していきたいです」 おそらく準決勝からは集中力が増していき、予選とは別次元の力を発揮するだろう。準決勝は、1組9レーン。またしてもコールマンと同組だ。自己ベストでは1組で4番目タイとなるが、決勝で“戦う”には着順(2着以内)で通過しないと難しい。 コールマンの実力・キャリアは突出しており、次に実績があるのは9秒91のアジア記録保持者で、2年前のロンドン世界陸上でファイナリストになった蘇炳添(中国)だ。しかし、蘇は、予選で桐生と同じ4組に出場して5着と大苦戦している。他に9秒96の自己ベストを持つアーロン・ブラウン(カナダ)、男子4×100mリレーで日本のライバルとなる英国の中心選手で自己ベストがサニブラウンと同じ9秒97のアダム・ジェミリがライバルとなる。 V候補のコールマンがいる準決勝1組で2着以内をゲットできるのか。 世界選手権のファイナルに進出するには準決勝で「9秒台」に近いタイムが必要になってくる。今季3度も出している9秒台はサニブラウンにとって壁ではない。決勝で“ゾーン”に入っていき、サニブラウンの本気メーターが振り切れれば、メダルにも手が届くかもしれない。そう感じているのは筆者だけではないだろう。まずは準決勝(日本時間29日0時45分)の走りに注目。決勝進出を果たせば、世界陸上では日本人初の快挙となり、五輪を含めても1932年のロス五輪6位の吉岡隆徳氏以来87年ぶりの記録になる。 (文責・酒井政人/スポーツライター)