「M-1グランプリ2024」ファイナリストを最終確認しよう
史上最多となる1万330組がエントリーした、今年の漫才頂上決戦「M-1グランプリ」。決勝ではエバース、ジョックロック、真空ジェシカ、ダイタク、トム・ブラウン、バッテリィズ、ママタルト、ヤーレンズ、令和ロマンの9組に敗者復活組を加えた計10組が第20代王者を目指して激突する。 【画像】エバース。左から佐々木隆史、町田和樹(他9件) この記事では準決勝を勝ち上がったファイナリスト9組を「基礎知識」「M-1戦績」「今年の活躍」という3つのポイントで総ざらい。ファイナリストたちの顔ぶれを最終確認しよう。 ■ エバース 2016年4月結成。吉本興業所属。佐々木の斜め上の発想を、2人の飾らない会話に落とし込んで観客を引き付けていくネタが武器。町田のぶっきらぼうなツッコミも芸人評価が高く、霜降り明星・粗品のYouTubeチャンネルに出演した際には「仲良くなりたい」「会いたかった」と粗品からラブコールを受けた。 「M-1」にはNSC時代の2015年から参加。2023年に初めて準決勝に進出し、敗者復活戦では「ケンタウロス」のネタでトム・ブラウンに勝利。ナイチンゲールダンスに敗れ決勝進出の切符を逃したものの、以降、注目度が上昇する。 2024年は「ツギクル芸人グランプリ」「ABCお笑いグランプリ」「マイナビ Laughter Night」といった賞レースで次々と決勝進出し、「NHK新人お笑い大賞」で初タイトル獲得。また8月に開催した自身初の東京・ルミネtheよしもとでの単独ライブ「七番、レフト」は満席・立ち見の盛況ぶりだった。 ■ ジョックロック 2022年4月結成。吉本興業所属。福本ユウショウがゆうじろーの7期先輩で、年齢は10歳離れている珍しいコンビ。福本がポーズを決めながら大声で放つツッコミが特徴で、本人は「めちゃくちゃCMにも使いやすい」と汎用性をアピールしている。 「M-1」には2022年から参戦。2022年は2回戦敗退、2023年は準々決勝敗退、2024年は決勝進出……と毎年飛び級で戦績を更新している。敗者復活戦の経験がないため、今回の出場者の中では唯一、「M-1」でのネタがテレビで一度も放送されていないコンビだ。 「NHK新人お笑い大賞」では2023年と2024年の2年連続で準優勝に終わり、涙を飲んだ。「マイナビ Laughter Night」では2024年3月の月間チャンピオンとなり、第10回チャンピオンライブに出場。「コンビを組んでからこれまで1回も壁に当たったことがなくて、すべてうまくいっている」と語るほどの快進撃を続ける2人はその勢いを「M-1」決勝でも見せつけられるのか。 ■ 真空ジェシカ 2012年5月デビュー。プロダクション人力舎所属。2人とも学生お笑い出身で大喜利も得意。コンビで競う大喜利大会「AUN~コンビ大喜利王決定戦~」では5回の優勝を誇っている。 結成初期はコント中心だったが、2017年に「M-1」の準々決勝に初めて進出すると、漫才のイメージも徐々に強まっていく。このときに披露されたネタは、観客に語りかけたり、挙手を促したりする内容で、お笑いファンに大きなインパクトを与えた。2021年、2022年、2023年と連続で決勝進出し、それぞれ6位、5位、5位という結果に。2023年は審査員の博多大吉から「2人にしかできないネタ」と称賛された。 2024年は、文具メーカー・PILOT(パイロット)のWeb動画に出演するなど、広告仕事も増加。2月には冠特番「真空ジェシカのつまんなテレビ」(CS・TBSチャンネル1)も放送された。芸人としての飛躍を遂げ、4年連続4度目の決勝に挑む。 ■ ダイタク 2009年4月結成。吉本興業所属。大が兄、拓が弟の一卵性双生児の兄弟コンビ。2人そろって酒とギャンブルが好きな昔ながらの芸人気質で、2023年1月配信の「チャンスの時間」(ABEMA)ではベトナムにある“幻のパチスロ店”へ。兄弟ゲンカをしながらスロットで当たりを出す名シーンを生み出した。 「M-1」には2009年より挑戦。5回の準決勝敗退を経験し、特に昨年は後輩であり盟友のダンビラムーチョが先に決勝進出を決めるという悔しさを味わった。ラストイヤーとして臨んだ今年はついに決勝へ。ファイナリストとして名前が呼ばれた際には、周囲の芸人仲間からひと際大きな声が上がり、祝福を受けた拓は今までの思いを噛みしめるように「初めてです、うれしくて泣いたの」と述べた。 2024年は「第九回上方漫才協会大賞」の大賞候補にノミネート。「にけつッ!!」(読売テレビ)、「千原ジュニアの座王」「マルコポロリ!」(関西テレビ)などテレビ番組への露出も増えた。来年2月には大規模な主催ライブ「ダイタクの伝家の宝刀」の開催も控えている。 ■ トム・ブラウン 2009年1月結成。ケイダッシュステージ所属。高校時代の先輩後輩だった布川とみちおが地元・北海道でキャリアをスタートさせる。みちおの猟奇的なボケや怪力、布川の頭を掴むようなツッコミや「キャー!」という奇声など、クレイジーかつバイオレンスな雰囲気を放つコンビだ。 「M-1」にはアマチュア時代の2008年から挑戦し、2018年に初の決勝進出。この際に披露した「なかじMAX」のネタは視聴者に大きな印象を残した。審査員の立川志らくは97点という高得点を付け、「なんなんですか? あなたたちは」「意味もまったくわからないんだけど衝撃を受けました」とコメントした。2020年から2022年までは3年連続で準々決勝敗退という苦汁をなめたが、ラストイヤーの今回、6年ぶりに決勝へと返り咲いた。 2024年は3月にオズワルドとの冠番組「道産人間オズブラウン」(STV札幌テレビ)がスタート。また2人のネタをもとにした絵本「がったい!」(講談社)や、ヌードも披露したデジタル写真集「笑ってごらん」も発売され、まさに独自の道を突き進んでいた。 ■ バッテリィズ 2017年10月結成。吉本興業所属。2人とも野球好きで、芸人による草野球チーム「上方ホンキッキーズ」を立ち上げた。「名前を書けば受かる高校に名前を書き忘れて落ちた」というエピソードを持つエースの“アホ”な部分がネタにも生かされている。 「M-1」では初挑戦した2018年にいきなり3回戦へと進出。2023年に初の準決勝進出を果たす。敗者復活戦ではシシガシラに敗れたものの、陣内智則から「いいアホ感が出てたね!」、マヂカルラブリー・野田クリスタルから「新しいバカ」と評され、エースのキャラクターが一気に浸透した。 今年に入ると2月に「ytv漫才新人賞」で「決定戦」に進出し3位となる。4月にはArtistspokenで冠ポッドキャスト番組「バッテリィズの○○」がスタートした。このほか「今田耕司のネタバレMTG」(読売テレビ)、「千原ジュニアの座王」(関西テレビ)、「チャンスの時間」(ABEMA)といった番組に出演し、着々と露出を増やしている。 ■ ママタルト 2016年4月結成。サンミュージック所属。巨体でおなじみの大鶴肥満は「まーちゃんごめんね」略して「まーごめ」、芸人がツッコミで競う粗品主宰ライブ「ツッコミ」で優勝した檜原は「一本くらい電話くれよなあ!」略して「一電(いちでん)」とそれぞれキラーフレーズを持つ。 「M-1」には2016年から参戦。2022年から2024年まで3年連続で準決勝へと駒を進め、今年ついに初のファイナリスト入りを果たした。ウエストランド井口の「どこどこでウケたくらいで浮足立つな! 地に足つけろ!」という教えが染み込んでおり、決勝進出後も「意外と冷静」だという。 2024年はラジオアプリGERAで配信されている「ママタルトのラジオ母ちゃん」発の企画展「大鶴肥満の摩訶不思議展」を開催。また大鶴肥満が結婚式を挙げるという内容のライブ「ミステリーピューロランド -大鶴肥満 緋色のウェディング-」も話題を呼んだ。 ■ ヤーレンズ 2011年9月結成。ケイダッシュステージ所属。2012年には結成1年目にして「THE MANZAI」の認定漫才師に選ばれ、早くも頭角を現す。楢原の飄々としたボケと出井の緩急自在なツッコミは東京のライブシーンでも存在感を放っており、2016年にはK-PROライブでのMVPを獲得した。 「M-1」には2015年に初参戦し、いきなり準々決勝まで進出するが、その先にはなかなか勝ち進めず、2022年にようやく悲願の準決勝進出を決める。令和ロマンとのツーマンライブを定期的に実施していた2023年は初の決勝へ。その盟友の令和ロマンに敗れて準優勝となった。 昨年の「M-1」で人気に火が付いたヤーレンズは2024年に入ると、「踊る!さんま御殿!!」「ぐるぐるナインティナイン」(日本テレビ系)、「秘密のケンミンSHOW極」(読売テレビ・日本テレビ系)といった人気番組に次々と出演。初となる冠番組「ヤーレンズの上京したけど戻れぬ故郷(ふるさと)」(ABCテレビ)も放送された。また2月にはお笑いコンクール「第6回 たけしが認めた若手芸人 ビートたけし杯『お笑い日本一』」で優勝。ビートたけしから「一番余裕を感じたのはヤーレンズかなと思った。場慣れしてる」と称賛された。 ■ 令和ロマン 2018年4月デビュー。吉本興業所属。慶應義塾大学のお笑いサークル「お笑い道場O-keis」の先輩後輩が結成したコンビ。NSC生のNo.1を決めるライブ「NSC大ライブTOKYO 2018」で優勝し、東京校23期生の首席となった(当時のコンビ名は魔人無骨)。2020年には「第7回 NHK新人お笑い大賞」でも優勝している。 「M-1」では2018年に準々決勝敗退するも、GYAO!ワイルドカード枠で復活。デビュー1年目にして準決勝の舞台に立つ。そして昨年は初の決勝進出を果たし、勢いそのままに優勝した。 2024年7月には「第45回ABCお笑いグランプリ」でも王者に。くるまは同年8月、グローバルビジネス誌「Forbes JAPAN」の「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2024」を受賞した。今年の「M-1」では予選中からくるまが「すべての子羊漫才師を檻に帰す」と徹底的にヒールを演じており、史上初の2連覇を成し遂げるのか注目が集まっている。 ■ 「M-1グランプリ2024」オンエア情報 □ 「M-1グランプリ2024」敗者復活戦 ABCテレビ・テレビ朝日系 2024年12月22日(日)15:00~18:30 <出演者> Aブロック:カベポスター / 十九人 / 金魚番長 / ドンデコルテ / フースーヤ / 今夜も星が綺麗 / ダンビラムーチョ Bブロック:マユリカ / 家族チャーハン / ナイチンゲールダンス / カラタチ / 男性ブランコ / 滝音 / 豪快キャプテン Cブロック:シシガシラ / ひつじねいり / 例えば炎 / オズワルド / インディアンス / 豆鉄砲 / スタミナパン 審査員:ウエストランド井口 / とろサーモン久保田 / トレンディエンジェル斎藤 / マヂカルラブリー・野田クリスタル / 錦鯉・渡辺 司会:陣内智則 / 齋藤飛鳥 □ 「M-1グランプリ2024」決勝戦 ABCテレビ・テレビ朝日系 2024年12月22日(日)18:30~22:10 <出演者> 決勝進出者:ママタルト / 令和ロマン / ジョックロック / 真空ジェシカ / エバース / トム・ブラウン / ダイタク / ヤーレンズ / バッテリィズ 審査員:NON STYLE石田 / 海原ともこ / アンタッチャブル柴田 / 笑い飯・哲夫 / 博多大吉 / ナイツ塙 / かまいたち山内 / 中川家・礼二 / オードリー若林 司会:今田耕司 / 上戸彩