消える?川勝前知事のキャッチフレーズ「富国有徳」「ふじのくに」 新知事「こだわりない」 既存の施設名など継続方針
鈴木康友知事が就任した5月下旬以降、静岡県が「富国有徳」「ふじのくに」などの文言の発信を減らしている。県のキャッチフレーズとして長年使用され、特に川勝平太前知事の印象が強いとされるためだ。一方、鈴木知事は、文言にこだわらないとし、「ふじのくに茶の都ミュージアム」など施設名称にある「ふじのくに」については、継続する方針を示している。 5月29日の就任会見。鈴木知事の背後には、県イメージキャラクターのふじっぴーや富士山に「静岡県」というシンプルな文字のパネルがあった。3週間前の前知事退任会見まで使われていた「富国有徳の美しい“ふじのくに”」のロゴマーク入りのパネルは姿を消した。 同じロゴマークは、対外向けの資料や報道提供資料にほぼ記載されてきたが、鈴木知事就任後の同30日からは全て県章に変わった。県広聴広報課が広報用のフォーマットを差し替えた。会見パネルはリモート会議用を代替したという。同課担当者は「前知事の色が強い文言は次の方針が決まるまで使えない」とし、あくまで暫定措置と説明した。 静岡新聞社などの取材に、鈴木知事は「(施設名や各種計画名など)固有名詞になっているものはそのまま使えば良い。特にこだわりはない」と答え、変更を求めてはいない。 「富国有徳」は、川勝氏が知事就任前の1990年代に出版した著書「富国有徳論」で提唱。当時の石川嘉延知事の目に留まり、石川県政時代から20年以上にわたってキャッチフレーズなどに使われてきた。「多くの人が私欲にとらわれず、社会のために役立つ志を持って活躍している社会」の意味とされ、川勝県政では公選第4代の山本敬三郎知事時代から使われてきた「ふじのくに」のフレーズとともに多用された。県総合計画のタイトルにもなっている。
静岡新聞社