集まれない分、SNSで連絡「密」に 21世紀枠・東播磨 第93回選抜高校野球
今年こそ夢舞台へ――。29日開かれた第93回選抜高校野球大会の選考委員会で、32校の出場が決まった。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で前回大会が中止となった2年ぶりの「春」。コロナ禍を乗り越えて切符をつかんだ選手たちは、春夏の甲子園大会を奪われた先輩たちの思いも背負い、静かに闘志を湧き上がらせた。大会は3月19日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。 【センバツ出場校決定】運命決めた選考の様子 21世紀枠で選ばれた東播磨(兵庫)は、新型コロナウイルスの影響で全体練習ができない時期も、指導者と選手がSNS(ネット交流サービス)などを活用した新しい練習スタイルで、一体感を高めたことが評価された。 政府の緊急事態宣言発令で休校延長が決まった翌日の2020年4月8日。福村順一監督は、無料通信アプリ「LINE」で、指導者と部員48人のグループトークルームを設けた。「全体練習はできないが、時間は止まらない。野球をする方法はないか」と考えたからだ。ほぼ毎日、自宅での練習メニューを発信。基本の練習メニューを自らやってみせた動画を50本以上つくり、共有した。質疑応答もSNS経由。意思疎通を密にすることで「やる気を維持してほしい」と願っていた。 他にも、ビデオ会議システム「Zoom」で画面越しに個別指導し、睡眠や勉強時間、練習日誌を書き込むアプリで、毎日の体調や悩みを把握。込み入った話を聞く際は電話といったように、あらゆる通信手段を駆使した。上野耕平選手(2年)は「ネット経由で仲間の様子が分かり、自主練習に身が入った」と振り返る。動画はスマートフォンに保存し、繰り返し確認しているという。 学校再開後も、ミーティングが長引きそうな時は文書で発信し、体を動かす練習に時間を割く。福村監督は「スタンドにいる選手も含め、チーム一体となって試合に臨む」と意気込んだ。【後藤奈緒】