（写真：東奥日報社）

　青森県は30日、2023年産県産リンゴの総販売額（23年8月～24年8月出荷分）が前年産比3％増の1221億6千万円（平年比12％増）となり、統計が残る1973年以降で最高だったと明らかにした。昨夏の猛暑で収穫量は少なかったものの、果実全体の品薄感から価格が上昇したことが主な要因となった。県外市場を中心に年間を通じて高値で取引され、10年連続で1千億円の大台を超えた。 　総販売量は同15％減の34万トン（同12％減）で、過去10年間で最も少なかった。県りんご果樹課によると、23年産リンゴは夏季の高温による日焼けや収穫前の落果、鳥獣による被害などで収穫量が大幅に減少した。しかし、他県産リンゴや競合するほかの果実なども収穫量が少なく、市場の果実全体が高値で推移したことで県産リンゴの引き合いは例年通り保たれた。 　総販売額の内訳は、輸出を含む県外販売が同2％増の1127億2400万円（同12％増）で大部分を占めた。23年産は主要輸出先である台湾や香港で食味が評価され、シーズンを通して需要が安定。円安傾向が続いたことも追い風となった。 　県内販売は同24％増の55億1900万円、加工向けは同4％増の39億1700万円。全体の1キロ当たり平均価格は同21％高の359円、県外販売は同26％高の467円でいずれも過去最高を記録した。 　30日の県議会一般質問で、県産リンゴの生産振興策をただした谷川政人議員（自民）に対し、宮下宗一郎知事は「過去最高の販売額は生産者や関係団体が一丸となって努力した結果。今後も気候変動に適応した新品種の開発、高密植栽培、スマート農業を進め、生産者のさらなる所得向上につなげる」と答えた。