スティーブ・ジョブズが実践した、苦痛を乗り切るための稀有なマインドセット
私は人生で何度も辛いことを味わいましたが、その中でも一番苦痛だったのは、離婚したあと、うつ病と不安障害から立ち直るのに何カ月もかかったこと。しかし今思えば、この出来事があったからこそ自分の望む人生を考え直すことができたのです。自分自身が生まれ変わる必要があったのだと思います。キャリアを変え、仕事関係のネットワークを一新するなどして変貌を遂げた結果、働いて幸せな人生を送るうえでの、価値観も変わっていきました。当時はなかなか難しかったのですが、この時心がけたマインドセットがあります。それは「信じる」ということでした。人を信じること、これももちろん重要です。でも、それだけではなく、起業家という不測の事態にも遭遇する世界に飛び込んだとき、自分自身を見つめ、その過程を信じる必要がありました。
スティーブ・ジョブズの「何かを信じる」
Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブズは、2005年にスタンフォード大学の卒業生に向けて行なった伝説的な卒業式でのスピーチで、社会に出ていく学生たちに、「果敢に、リスクをとっていくように」「道は険しいかもしれないが、最終的にはうまくいくという信念を持つように」と進言しました。 そして、彼自身がAppleを解雇され、公に面目を潰されたものの、数年後には舞い戻り、iPhoneをもって多くの業界に変革をもたらすことになるまでの道のりについて語りました。 「人生では、将来を見据えながら点と点をつなぐことはできない。後から振り返ったときに初めてできることなんだ。そしてそれには、自分よりも大きなものを信頼するという、今までとは違ったレベルの信頼が必要になる」。 以下は、ジョブスが残した、多くの人にとって人生の指針となるコメントです。 点と点はいつかつながるものだと信じるしかない。何かを信じることだ。自分の直感でも、運命、人生、カルマ(業、宿命)でも。このやりかたで、うまくいかなかったことは一度もない。むしろ、私の人生を大きく変えてくれた。 スピードや推進力を持ってビジネス規模を拡大することにフォーカスしたい起業家にとっては、こんなふうに信じることは自身の直感には反することでしょう。 なぜなら、それは身を委ねることに等しいから。そんなのは弱い人間のすること、と思いますよね? そうかもしれないし、そうではないかもしれないのです。